デアイ 【5】 ページ40
「私、無個性なんです。」
私にしては、随分サラッと言ったものだな、と自分の少しの成長を小さく喜ぶ。
「！・・・・すまねぇ。」
私の思いとは裏腹に、轟さんは、また下を向く。
前から見える轟さんは、眉が下がっている様だった。
そんな様子を見て、次は私が「ふふっ」と笑った。
「顔を上げて下さい。慣れてますから。」
そう言うと、ゆっくり顔を上げた。
だが其の顔には、まだ謝罪の色が見てとれる。
私は一つ考え、轟さんに提案した。
「・・・・・轟さん。私の話を少しだけ、聞いてくれませんか？」
一瞬、驚いた顔をしたものの、次には真剣な顔で頷いてくれた。
会ったばかりで、其の顔が真剣な顔なのかは、私には分からないが。
視線を空に投げ、私は口を開いた。
「＿＿＿＿＿＿五歳、位だったと思います。其処ら辺は、もう詳しくは覚えてませんので。
それ位の歳に、私は自分が無個性だという事を知りました。
当時、周りは私に同情し、慰めの言葉を投げ掛けてくれました。けれど其れと同時に、影では私を蔑み、嘲笑いました。
毎日の様に蹴られ、殴られ、罵られ、生傷が絶える事は無く＿＿＿＿＿＿最早私の元の日常は形骸化し、多くの罵声を浴び続けるのが日常になったんです。
そして二年前、“私は当時の学校の屋上から飛び降り”ました。
＿＿＿＿＿＿其処から約二年の間、私は昏睡状態だったらしく、目が覚めたのはつい最近の出来事。
今は兄さんと話す機会が少なく、関わる事自体本当に稀なんです。お陰で、罵られないので良かったとは思うんですが・・・・・
矢張り、兄妹だからでしょうかね。
兄さんには、ヒーローになって貰いたいんです。私の応援なんて、かえって苛立たせてしまうかもしれません・・・・・でも」
其処で、一旦言葉を区切る。
轟さんより幾分か小さい私は、轟さんをしっかり見上げ、言った。
「＿＿＿＿＿例え、其の言葉を望まれて無くても
兄さんに“貴方は私のヒーローです”と、言いたいんです。」
どれだけの時間を掛けても構わない。
貴方が生きていさえすれば、言えるのだから。
------------------
「本当に有難う御座いました。
此の御恩？は、一生忘れません。」
「じゃあ次会った時、蕎麦でも奢ってくれ。」
「・・・・・」
「冗談だ。」
「止めて下さい。真顔でガチな事言うの。」
「悪ぃ。」
少しの無言の後、二人で小さく笑った。
轟さんにお礼をして、私は日向の道を歩いた。
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泉桃花クラスタ - 爆豪君って難しいキャラですよね…夢主様を守りたいって思ってるのに逆に傷つけてしまったり…爆豪くんが素直になれる日が来るといいですね！ (2019年7月25日 21時) (
レス) id: 1a879c682f (このIDを非表示/違反報告)
♂ｒｅｏｎ♀(プロフ) - 琴琶さん» けなされたとは？どこに貶される要素がありましたか？このコメント欄に四面楚歌の読み方の最初の文字はこ、ではなくし、ですよ。あなたの言っている意味がまるっきり分かりません (2019年3月26日 11時) (レス) id: 49359375a8 (このIDを非表示/違反報告)
琴琶 - けなされた…。(泣)まあ、これからも一緒に発狂しましょう！こ…、四面楚歌さんw (2019年3月23日 16時) (レス) id: 57d839eeab (このIDを非表示/違反報告)
四面楚歌(プロフ) - は、はいっ！頑張ります！有難う御座います！ (2019年3月22日 20時) (レス) id: 0dcecdf2b2 (このIDを非表示/違反報告)
琴琶 - は、早くッ！早く更新して下さい！！頑張って！！ (2019年3月22日 19時) (レス) id: 57d839eeab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四面楚歌 | 作成日時：2019年2月15日 23時
