一人と一人の贖罪 ページ17
(緑谷side)
今日、優己ちゃんが雄英に来た。
理由は、相澤先生へ届け物をする為。
優己ちゃんが体育館に現れて、最初は驚いたけれど、その反面嬉しくもあった。
優己ちゃんが、かっちゃんを苦手とすることは知っている。
だから、チャンスだと思ったんだ。
もし授業見学が許されるなら、かっちゃんの姿を、優己ちゃんに見せたいと考えた。
「もしかしたら、優己ちゃんがかっちゃんを、昔みたいに尊敬したりするかも」って。
＿＿＿＿けれど、現実は何時も上手くいかない。
結果的に、かっちゃんは優己ちゃんに「帰れ」と言い、優己ちゃんも黙って身を翻して立ち去ろうとした。
慌てて、僕は優己ちゃんの腕を掴んだ。
そして、いきなり後ろに引っ張ったからか、優己ちゃんは僕に飛び込んで来るという形になってしまった。
＿＿＿＿＿その時の優己ちゃんは、今にも泣き出しそうだった。
か細い声で、「離して下さい」と言われて、僕は少し迷ったけれど、優己ちゃんを離してしまった。
ほんの数秒の沈黙＿＿＿＿＿
破ったのは、優己ちゃんだった。
「良いですね、いずくんは」
そう言った優己ちゃんの目は、今までに無い程、悲しみと絶望に昏れていた。
＿＿＿＿＿優己ちゃん、違うんだ。
「僕の此の力は、人から授かったものなんだ」
そう言ったら君は、今度こそ泣いてしまうかな？
「ずるい」と、「どうして」と泣き喚くだろうか。
君は僕を「良いね」と言った。
けど、僕は分かる。
其れが単なる羨望では無く、絶望と入り混じったものだと。
優己ちゃん
今から僕が言う事は、
僕とかっちゃんの言い訳だ。
かっちゃんはね、優己ちゃんが思っているよりずっと、優己ちゃんを大切にしているんだ。
優己ちゃんが無個性だと知ったかっちゃんは、僕にこっそり言ってきた。
「優己、無個性だった」
そう、ポツンと言ったかっちゃんは、何処も見ていない目で、空を仰いでいた。
「そ、そっか・・・・ゆ、優己ちゃんだから、
てっきり、かっちゃんと同じ様な個性かと
思った・・・・」
その時の僕は、同情と一緒に、歓喜があったんだ。
最低な奴だよね。
でも、「僕は一人じゃないんだ」っていう喜びが、どうしても拭いきれなかった。
けれどその時の僕は、まだ五、六歳だったから、そんな幼稚な考えが頭をよぎったんだ。
------------------
字数的に、次へ行きます。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 442人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
泉桃花クラスタ - 爆豪君って難しいキャラですよね…夢主様を守りたいって思ってるのに逆に傷つけてしまったり…爆豪くんが素直になれる日が来るといいですね！ (2019年7月25日 21時) (
レス) id: 1a879c682f (このIDを非表示/違反報告)
♂ｒｅｏｎ♀(プロフ) - 琴琶さん» けなされたとは？どこに貶される要素がありましたか？このコメント欄に四面楚歌の読み方の最初の文字はこ、ではなくし、ですよ。あなたの言っている意味がまるっきり分かりません (2019年3月26日 11時) (レス) id: 49359375a8 (このIDを非表示/違反報告)
琴琶 - けなされた…。(泣)まあ、これからも一緒に発狂しましょう！こ…、四面楚歌さんw (2019年3月23日 16時) (レス) id: 57d839eeab (このIDを非表示/違反報告)
四面楚歌(プロフ) - は、はいっ！頑張ります！有難う御座います！ (2019年3月22日 20時) (レス) id: 0dcecdf2b2 (このIDを非表示/違反報告)
琴琶 - は、早くッ！早く更新して下さい！！頑張って！！ (2019年3月22日 19時) (レス) id: 57d839eeab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：四面楚歌 | 作成日時：2019年2月15日 23時
