無個性 9 ページ11
半ば無理矢理いずくんに弁当を押し付け、気付けば私は全速力で走っていた。
『あんな無個性のクズ、妹でも何でもねェよ。』
嫌、嫌、嫌、嫌
否定しないで。
私の存在を、
否定しないで。
「ハ・・・ハ・・・」
息が荒い。
当然だ。
一回も止まることなく走ったのだから。
立ち止まり、少し頭が冷めてきた。
ゆっくりと、落ち着いて呼吸をする。
頭に酸素が行き渡っている感じだ。
冷静になり辺りを見回せば、見知らぬ場所に行き着いていた。
「・・・・・何処・・・」
呟いても、返る返事は無い。
散策する気力も無いので、諦めて近くの塀に腰を下ろす。
「・・・・・・」
兄だって、もっと自慢出来る妹が欲しかった筈だ。
そうだ。
結局、私が悪いのだから。
「ごめん、・・・・なさい。」
止まりかけた涙が出て来る。
止まる事を知らないのか、此の涙は。
「・・・・・ごめんなさい・・・・」
自慢出来る妹じゃ無くて。
クズでゴミで役立たずな妹で。
私が産まれてきて。
「・・・ごめんなさ・・・っ」
そういえば、
いずくんが後ろで何か叫んでたな。
無視して来てしまったけど。
「・・・・ごめん、いずくん」
腕の中に顔を埋める。
嗚呼不味い。
謝罪の言葉しか出て来ない。
「・・・・ごめんなさい・・・」
だがやはり、其の言葉しか出て来なかった。
いっそこのまま、死んでしまおうか？
要らない私なんて、誰が必要とするだろうか？
お母さんやお父さんも、本当は私を邪魔だと思ってるんじゃないのか。
「・・・・・」
考えたらきりが無くて、一旦考える事を止めた。
「どうしよ・・・・」
家には、帰りたくない。
兄が居る。
でも
でも
でも
『あんな無個性のクズ、妹でも何でもねェよ。』
蘇る兄の言葉。
あの時兄は、どんな想いで言ったのだろう。
今までだってそう。
私は＿＿＿＿＿＿＿
兄の邪魔でしかない。
「・・・・・・そうだ・・・」
頭がスッと晴れた気がした。
「・・・・・何、やってんだろ」
何を思い悩む必要が有った？
消えれば良いのだ。
私という存在そのものが。
簡単じゃないか。
「消えれば・・・・・良いんだ」
フラッと立ち上がった私は、自分の学校に向かって足を進めた。
その時の私の足取りは、驚く程に軽かった。
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ソイク(プロフ) - 名前変更ってないんですか？ (2021年9月18日 2時) (
レス) id: 145d3835ef (このIDを非表示/違反報告)
はな - 名前変換は簡単なのでしてほしいです (2019年12月31日 13時) (レス) id: 32e6686df9 (このIDを非表示/違反報告)
悠吏(プロフ) - もし良かったら、名前変換出来るようにしてほしいです…(´･ω･｀) (2019年5月29日 14時) (レス) id: 0ccaf131b5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - もっと優己ちゃん出してほしいけど、原作見返してるみたいでおさらいになるのでこれも良き。 (2019年2月13日 16時) (レス) id: 071a98174c (このIDを非表示/違反報告)
アカヤ - 毎日チェックしちゃうくらい大好きです！これからも頑張ってください！！ (2019年2月12日 18時) (レス) id: 028fbbb864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四面楚歌 | 作成日時：2019年1月18日 23時
