店員さんシリーズ

花屋店員(Another) ページ42

「ただいまー」







今日は、大事な藤ヶ谷の誕生日
ただいま、なんて言ってるけどここは藤ヶ谷の家だ








ここにくる前に柄にもなく薔薇を買ってきた。
ケーキは自分の好きなとこの買ってくると言われてしまったから、代わりにと思って花屋さんに寄ったのだった。








9本の薔薇、意味はいつも一緒にいてください。
ちょっとくさいかなと思ったけれど、今の1番の思いだし本数的にもちょうどよかったから。









「おーい、藤ヶ谷ー。ちょっと手放せないから助けてくんねー？」








豪華に盛ってもらったせいできっと見えてしまうから、玄関に来てもらうように藤ヶ谷をよんだ
ちょっと怪訝そうな顔をした藤ヶ谷が顔をみせて別に何もないじゃん、という目でみてくる








「もっとこっち来てよ」







「なに、怖いんだけど」







「いいから」







何を警戒してかよちよちと藤ヶ谷が近づいてきてちょっと笑える
目の前に来たところで後ろ手に隠してた花束を差し出した







「ん、誕生日おめでとう」







男に花束なんて、と普通は思うけど目の前の藤ヶ谷さんは目を細めて嬉しそうに笑っている
中央に差し込んだカードに気づくと、満足そうに笑ってちらっとこっちを見てくる







「ねえ、何で9本？」







「んー？そのまんまの意味だよ」







「ふふ、後で調べる」








ありがとう、と唇が触れ合うだけの優しいキスを落として髪や耳を撫でてくる。少しくすぐったいけどとても心地いい触り方だ。
本当は甘い空気に持っていきたいところだけど、美味しいご飯とケーキが待っている。プレゼントも渡さなきゃだし。
我慢して、今日はちょっとだけ、甘い夜を過ごそう、だなんて。









"おめでとう。これからもよろしく"








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