店員さんシリーズ

コンビニ店員(3) ページ4

「おねがいします」

そんなことを考えていたらいつのまにか品定めは終わっていたらしく、カゴが置かれた



慌ててレジを通していくが、ふと顔をあげると目の前にはちいさいほうのお兄さんだった



いつもはサングラスのお兄さんなのに、と思って隣をみると少し不貞腐れた顔をしたお兄さんがいた



「なんでそんな顔してんだよ」




彼も気になったのか、サングラスのお兄さんに問いかける



その問いかけに不満げに唇を尖らせたサングラスのお兄さんは、ため息をついた


「別に」

「何だよ、今日くらい俺に出させろよ」



サングラスのお兄さんをちいさいお兄さんが見つめるが、そっぽを向いている




「だーもう！お前の舞台終わったお祝いなんだから払わせろって言ってんの」



舞台、という単語を聞かれたくなかったのかボリュームを下げて訴えているが、静かな店内では丸聞こえだ



やっぱりサングラスのお兄さんは芸能人か、いつもサングラスかけてるし、なるほど




彼の素性がわかりひとりで納得しているとレジの手が止まってるのに気付いたのか、ちいさいほうの彼がこちらを向いた


「あの、まだですか」

「あ、すいません」



自分の手に握られているのはビール



うちの系列では画面に注意書きが表示され、お客様にタッチしてもらっているが、20歳を超えているか疑わしいお客様には身分証の提示をお願いしている



彼は…何歳だろうか
一応お連れのお客様が20歳を超えているようでも支払いをするお客様で判断するように、と言われているのだけど…



顔が小さく、マスクをかけているからほぼ顔を見ることはできず、年齢不詳なのだ



「申し訳ありません。何か年齢を確認できるものをご提示お願いできますか」



まあ何か言われたら今の期間は全員に確認をしていると言えばいいし、と思い声をかけるとどんどんと顔が険しくなっていく



そんな彼とは逆に、さっきまで不貞腐れていたサングラスのお兄さんはぷっと吹き出した



「笑うな藤ヶ谷！あーもう…免許証でいいよね」



ん、と突き出された免許証を受け取り、生年月日を確認する



えーっと今年の成人は1996年生まれだったよな


…

……

………


ん！？！？！？

とんでもない大失態をしてしまったようだ


1985年9月17日…
あれ、今年って2016年だよね
おかしい、何回計算しても今年で31歳だ


「ぷっ、ぐふふっ」


ばっ、と顔を上げると口とお腹を抑え、必死にサングラスのお兄さんが笑いをこらえている

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