店員さんシリーズ

宅配業者(Another2) ページ30

入ってきた兄ちゃんは、その宅配業者のウリでもあるザ・さわやか！って感じだった

うん、ユーうちの事務所にどう？なんてね



印鑑かサインを求められたけどいくら俺でも印鑑の居場所までは知らないから、サインをすることにした



本当はいけないけど、ちょっとやってみたいという好奇心から
何食わぬ顔ですらすらっと署名をして兄ちゃんに押し付けた



『藤ヶ谷 宏光』

うん、中々いい響きじゃねえの？
ぐふふ、と上がりそうな口角を必死に抑えていると首からかけているタオルが落ちてしまった



タオルを拾ったら兄ちゃんが若干固まったけどどうしたのかな？
声をかけると慌てて出て行ってしまった



この前オススメされて頼んだ本かな？
確認せずに注文したから前登録しておいたここの住所に届くようにしちゃってたかも



バスルームからはシャワーを浴びる音が聞こえて、知らぬ間に藤ヶ谷は起きていたみたいだ



結構楽しみにしていた代物だったため、本当に自分の荷物なのか、送り主がどこなのか確認せずにリビングへと向かいながらびりびりと注文票を破いて、乱暴にダンボールを開けてしまった



「んはー、移動の時に読もー…、、、は？」


『遠隔操作可能☆電動ローター☆』


「ローター、？」


『普通のサイズでは我慢できないあなたに♡中で自由に動き回ります☆特大バイブ☆』



「と、特大、バイブ？」



自分の手元に収まる2つの箱にはなんとも如何わしい言葉がポップに書かれている



まて、俺こんなの注文した覚えは



「は、なに勝手に開けてんの」



超絶不機嫌な声が聞こえてガチガチと後ろを振り向くとむっとした顔の藤ヶ谷が髪を拭きながら近づいてきた



うん、水も滴るいい男ってな
今日もカッコいいよ



「こ、これお前が頼んだの？」



「俺以外に誰が頼むの、なに、自分が頼んだ覚えあるわけ？」



「んな、わけ！ねえだろ！！！」



動揺する俺とは正反対に手元のバイブを奪い取ると「うわー、ほんとにでけえな」と何とも楽しそうに呟いた

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