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テヒョンさんはそれわかってると思うんだけど、何も言わない。
むしろ、私が逸らす度、その手で視線を戻されて。
TH「ちゃんと見て」
って何か含んだ顔で言ってくる。
その表情も、ちょっと目のやり場に困るんだけど。
とりあえず、だいたい職場だからキス以上の何か起きるには、まだ至ってない。
YG「何、始めてみたら、想像と違うところでもあった？」
ユンギさんは私の話聞く時は、なぜかいつもちゃんと作業の手を止めて、なんならつぶさに詳細聞きたがる。
ちょっとかぶりつきで興味津々な感じもするから、絶対仕事のネタにしようと思ってる。
まあ私も、忙しい人の貴重な時間を割いてもらってるんで、何かしらを提供できるならと相談料として相応だなと思うから、利害はいちおう一致してる。
『あっ…いえ、テヒョンさんは全然変わらないし、状況的にもほんと…いや、そうですね。忙しい仕事のせいでフラれそうって心配、自分がすると思わなかったですね』
YG「マネヒョンたちいつもそれ言ってるよ。仕事のせいで離婚されそう、仕事のせいで子供に顔を忘れられそう、仕事のせいで彼女がよそ見しちゃいそうってさ」
『よそ見…』
YG「テヒョンに関してはそれはないだろうけど。そもそも俺は、Aのそのちょっとうじうじしてる感じ、いい傾向だと思うんだけど」
『え？』
YG「思考回路がまるっきり、恋する乙女みたいじゃん？」
『…は？』
誰が、何って？
YG「仕事のせいでフラれたらどうしようとか、テヒョンの好意に胡座かいてたAが言うとはねえ」
『え、私そんなに横柄でした？』
YG「無自覚だったなら、まあそん時はまだ、あいつを好きじゃなかったんだろ」
YG「今、めちゃくちゃ好きなんだろ」
YG「自分を、見失うくらい」
『グ…』
YG「ぐ？」
『グギャーーーーーーッッ！！！よくそんな恥ずかしい言葉言えますねえ！！？』
ユンギさんのあまりの乙女な言葉に、自分が上げたとは思えない声で叫んでた。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年4月22日 2時
