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テヒョンは私の不満に気付いている癖に、まるで無視するように顔を寄せてくるから、嫌って首を振って顔を逃したら。
耳に唇が触れて。
TH「社用車の後部座席って、
カーテンが付いてるって知ってた？」
って、誘うように囁いた。
TH「前の座席からも、窓からも中見えないようになるんだよ。俺たちが中で寝たり、移動の時に誰が中にいるかバレないようにするためなんだけど」
知ってるって言いたいけど、私の体はかちこちに固まって、もちろん唇もまるで縫い付けられたみたいに開けられなくなって、何も言えなかった。
耳に触れてる唇は、他にいたずらするでもなくそこにとどまってるけど、あなたがそこで息してるだけでやばいって。
私はふ、っふ、って耳に入ってくる吐息に体が反応しないよう必死で歯を食いしばって耐える。
意図して煽られてる情欲に、急激に熱くなってくる体と、場の空気にくらくらする。
今日の車はフルフラットのワゴンタイプだから、車外に出なくてもこのまま後ろの座席に行けてしまう。
テヒョンが誘っている意味が、わからないわけなくて。
私はたぶん、明るくしたらどこまでも真っ赤になっていると思う。
私が黙って、ほとんど抵抗をなくしたまな板の鯉になってるのに気付いてるテヒョンが、
TH「ちょっとだけ」
って、私の理性を崩しにかかってくる。
TH「ね、こんなところで最後までしないから。
俺んちもだめ、Aんちもだめなら、ねえ」
TH「ここで、ちょっと、触るだけ」
TH「大丈夫だよ。こんなところに入った車なんか、怖くて誰も覗かない」
そう言って、それでも何かのきっかけで見咎められるのを避けるためにか、エンジンを切ってしまった。
それって完全に、犯罪者の行動だよって、緊張のあまり乖離しそうなもう一人の私が、心臓のドキドキで爆発しかけてる胸をぎゅっと抱えながら、テヒョンと後部座席になだれ込んだ。
＋＋＋
お待たせいたしました。
初えっち編、連載再開いたしました。
次の更新は6/1(木)です。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年4月22日 2時
