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車に戻って、テヒョンの運転で、高台からもと来た道へ螺旋を描くように降りていくのを眺めながら、不意に落ちた沈黙。
さっきまで楽しそうだったのに、ふっと黙り込むからどうしたのかなって横向いたら、真剣な横顔が唇噛んで何か考えてる。
何を考えてるの、って声かけようと思ったら急にハンドル切って、そこ道だったの？っていう横道を、側溝にタイヤ落とさないよう慎重に上がってく。
『テヒョン？遭難するつもりなの？』
真っ暗な中、車のビームライトだけで前を照らしてる。
横道入っただけで、なんか高台じゃなくて山の中みたいな雰囲気。
ぱちっとテヒョンがライトを消した。
室内灯も無いままほとんど真っ暗な車内で、オーディオの表示画面がほの明るく、テヒョンの端正な横顔を浮き上がらせてる。
『どうしたの？』
怖くは無いけどこの状況の意図がわからなくて、ギアをパーキングに入れたテヒョンの手に手を伸ばして、とんとんって叩いて握る。
TH「気付いてる？」
『何を？』
TH「俺の呼び方変えてから、敬語がほとんどなくなってるの」
『あー、うん。それは意図的に…あと、呼び捨てに敬語って脳が混乱する…』
からかも、って言葉は、形ににはならなかった。
TH「ただそれだけで、俺もうずっと。
興奮してるんだけど」
ぼそっと呟いたテヒョンに、唇を奪われて。
『んっ、…っん！っ、やっ！ちょ、待って』
とっさにここ人気は無くても何が起こるかわかんないお外ですよって、理性的な私がテヒョンの肩を押して抗った。
抵抗なく押しのけられたテヒョンは、私を至近距離でじっと見つめて、ゆっくりとまばたきをしている。
私は慌てて、
『…あの、キスが嫌なんじゃなくて、ここ外だから…えと、あとソウルだし…』
って言い訳めいた言葉を焦って言うけど、
TH「…社用車の、後部座席って」
唐突に私の言葉の返事じゃない噛み合わない言葉を言われて面食らった。
『何急に』
私はその相変わらずの危機感の欠如にむむっと眉を寄せてしまって、ちょっとつっけんどんに問い詰める。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年4月22日 2時
