◇ ページ33
俺は思わず目を座らせて、唇噛んでAをじっと見つめてしまった。
すっぴんとか、大体想像してた通りだよ。
アイメイクしてないから目が少し小さくなって眉毛の形違うくらいじゃん。
かわいいよ。
でもそれ言ったらヒョンと同じこと言ってるって言われんでしょ、絶対言わない。
「Aの不安製造機の性能がヤバイ」
『ええ？あの人はお兄ちゃんだから、もう』
「あの人はあんたをつい先日まで好きだった男で、たぶん今も大好きで、あんたが駄目だっつーから泣く泣く兄になった男だよ」
あ、やばい。
どす黒い俺がちょっと顔出してる。
『ストップ』
そしたら不意に、画面にAの手が出てきて、ひらっと画面に押し付けられた。
そこから手がちろっと動いて、隙間からちらっとAが顔をのぞかせる。
『喧嘩したくない。私と殴り合いしないって言わなかった？もう忘れた？』
『無駄な嫉妬しないで。テヒョンおに…テヒョンさんのことは考えないで』
手がどんどんスライドしてって、最終的にAの顔だけになって。
『今は、私のことだけ考えて』
わりとアップめに顔が寄せられて、むっと不満げな顔。
なのに視線は甘えるようで、言葉はさらに甘ったるい。
ズキュンって擬音が俺の胸を突き刺して、
好きと抱きしめたいの甘酸っぱくさで、
苦しいくらいだよ。
この子やっぱり、小悪魔だった。
「…うん、ごめん」
『うん。ジョングクさんてすぐ闇落ちするね』
しょうがないな、って笑う大人っぽい顔は年下っぽさはなくて。
俺は、Aに俺のこの感情の落差の激しさごと、全部受け入れられてるんだってっことを、唐突に理解した。
それは俺は落ち着かせるには十分で。
なんだか、胸の中がぽかぽかしてきた。
「A、俺のこと好き？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 681人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フネ55
| 作成日時：2023年4月19日 23時
