◇ ページ11
会って、確かめないと。
何を？て、俺の中の誰かが問いかけるけど、今はちょっとそれに答える言葉が見つかんない。
ただ、
とにかく、
今すぐAに会わないと。
電話切った後も、ジンヒョンとAのことをやいやい話してる二人をよそに、俺はそう思って立ち上がった。
TH「うわっ」
俺が急に立ったから、テヒョンイヒョンが俺に押されてテーブルに腿ぶつけてる。
「すみませんヒョン大丈夫ですね？てか、ジンヒョン俺ちょっと用事思い出したから、もう行きます」
イタタタと唸るヒョンを心配するふりをして、ジンヒョンにも声かけて、俺は急いで会議室を出た。
Aが、どこにいるのかはわかってる。
ちらちらとカフェテリアをのぞいてたけど、Aは俺を警戒してかあれからそこにで見かけることはなくて。
そんなら、ここでしょ。
「えっ、ジョングクさん？」
海外事業部の両開きのドアは全開で開いてたから、ひょこっと顔をのぞかせたら、気付いた社員さんが俺の顔見て顎が落ちそうなくらいびっくりしてる。
まあ、そもそもこのフロアに、来たことないもんね。
そりゃビビるよね。
実は、俺もめちゃくちゃビビりながらここにいんだよ。
だってさ、俺。
今から自分がめちゃくちゃに傷付けた、
俺の好きな人呼び出すもんでさ。
「こんにちは…あの、佐藤Aさん、いますか？」
心臓が痛いくらい、バクバクしてる。
さっと、周りにいた人が一斉にその顔を一箇所に向けて、居場所はわかった。
Aは思わずって感じで、
『ジョングクさん？』
て、俺の名前呼んだ。
呼んだよね。
アー、やばい、なんか、溢れそう。
あ、てか服装コンサバ系じゃん。
やっぱり、そっちの方が良い。
キレイめOLて感じに見えるし、そう見せたいんでしょ？
無理して自分変えることないよ。
「佐藤さん、ちょっといいですか？」
てか、普通に声かけられるの、自分で自分を褒めたいよ。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年4月19日 23時
