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私の嗚咽が響く中、私たちは立ったままただ抱き合って、テヒョンさんは私の頭に頭寄せてぶちぶちと不満をこぼし始めた。
TH「こんなのずるい」
TH「惚れた弱みに付け込んでんじゃん」
TH「って、さっき俺キスしたよね？そんな相手によく言えるよね？俺のキスそんなヤバかった？Aの頭のネジ吹っ飛ばしちゃった？」
『馬鹿』
TH「うぐっ、あの…鼻声で顔俺にぐりぐりしての馬鹿は無いよ。あざといよ。なんか役得感あんじゃんコレなにもう…」
あー、って、上に向かって声出してる音がして、それから。
TH「A、俺。
君がほんとに好きだったんだよ」
過去形になってた。
TH「だから、ほんとずるいよ。ほとんど俺から友情強奪じゃん」
『うん』
TH「うんじゃないよ。意味分かってる？そんな俺、友達にしていいの？いやらしい目で見るかもよ？」
『いや』
TH「いやじゃないって…一緒に居て、俺がムラムラしたりしたらどうすんの。逸脱した友情もあり？OK?」
『だめ』
TH「じゃあ、今俺がハグしてるじゃん。もっと慰めてあげるから抱かせてって、Aを押し倒したら受け入れてくれる？」
『だめって、ば』
どんって、胸元叩いたら、くっ、って低い笑い声がして。
顔を上げたら、めちゃ笑ってた。
TH「アー、うん。楽しいね、A。
認めるよ。
君と一緒にいるのも、
君と話すのも、すごく楽しい」
TH「だから、好きになったのにね」
TH「ほんと、上手くいかないなあ…」
ため息混じりの言葉も、もうさっきまでの苦しそうな色はなくて。
私に恋してないテヒョンさんの、優しい微笑みが、ただそこにあるだけ。
ああ、ほんと。
私、どれだけその顔に会いたかったか。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年4月19日 23時
