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私が無言でいるのが不思議だったのか、テヒョンさんはそれから先何もせずに、私の肩を掴んで距離を取った。
その代わり、のぞき込むように私の顔を見つめて一言
TH「怒らないの?」
って、悪びれもせず言うもんだから。
ふって鼻で笑って、ちょっと強気に顔寄せて
『怒られたくてやったんですか?それなら相当、意地悪ですよ』
って思いっきり睨みつけて、吐き出す先がなくて腹の底にためてた怒りを、テヒョンさんにぶつけてしまった。
私の感情の強さを受けたテヒョンさんは、えって感じで目を見開いて、顎引いて少し距離を取ってくれた。
それ見て私は少しだけ溜飲が下がって、靴脱いで部屋に上がって、エアコンを付けた。
涼しい空気に一息ついて、振り返るとびっくりした顔のまま玄関で凍りついてるテヒョンさんが見えた。
なんか、ジョングクさんに耳に穴あけられたりの一連のやつ思い出したら、首舐められるくらい可愛いもんだと思ったんだよね。
それにびっくりした顔してるテヒョンさん、ほんとに無害な生き物に見えてかわいいもんだから。
ふって、私は苦笑して、おいでおいでって手招いた。
TH「お茶くらいしかありませんけど。さしあげますよ」
一人暮らしは初めてだったから、とりあえず欲しかった家具は端から入れた。
テヒョンさんが座ってる3人がけソファは、座り心地も寝心地も良いやつで、ちょっと頑張ったご褒美に最近購入したものだ。
あと人を駄目にするビーズクッション。
ひとりがけのソファっぽくなるやつ。
でも汗吸いそうでちょっと嫌だったから、作り置いてた冷えた緑茶をテヒョンさんに出すついでに、テヒョンさんの前にぺたっと床座りしたら、テヒョンさんがしばらく私を見た後に、ずるっとソファから降りて同じように地べたに座った。
TH「目線が」
って、ぼそっと言って少しはにかんだその顔で、同等の位置で視線合わせたかったんだなってわかるけど、なんかちょっともじもじしていてかわいいのなんでなの。
不思議に思ってたら、きょろきょろ周りを見た後に、小さく
TH「…なんかどこもかしこもAの匂いがする」
って頬染めたけど。
私、そんな汗くさいのかな。
お風呂入ってこようかな。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年3月27日 6時