◇ ページ13
至近距離で、見上げる目はあの夜と同じ、悔しそうな顔をしてた。
不意打ちのそれに、心臓がなんか変な方向に跳ねた。
『一緒に、考えてくださいよ。
ジョングクさん』
『テヒョンさんを、止める方法』
私じゃもう、お手上げなんです、てAは、感情を持て余した顔で唇噛んだ。
…最初から、そう言えよ。
俺は、はー…って、長めの深めの嫌々の不承不承のため息吐いて。
JK「…藁にもすがる、を何回やんの」
首振りながら、めちゃくちゃ呆れた声で言ってやったのに、
『可能な限り、何度でも』
だって。
俺の負け。
これに妙な庇護欲煽られてしまう癖ついた、俺の、負けだ。
「あのさ、この間の話は、俺でも返事できるやつ。でも今のは、俺じゃ無理。俺そんな頭良くないから。どうしたら無意識のテヒョンイヒョンを止められるのかとか、わかるわけないよ」
『…そう、ですか…』
「あー！やめろその顔！なんだよほんと調子狂うなぁ！しゃんとしててよ…どうしたら良いか俺の方がわかんなくなるよ」
思わずぼそっと呟いたら、腕掴んだままで近すぎる距離のAが、俺を見上げて
『巻き込んですみません…やっぱり、一人でなん…』
すとんと表情落としてサブマネの顔に戻ろうとするから、咄嗟に空いてる方の手で、話終わらないその口をぱしっと塞いだ。
「焦んなよ。そうじゃない。こういう相談するのに、最適な人紹介するから。そっち行って」
口を押さえられたAは、驚いたように目を丸くして、その長いまつ毛をパチパチさせた。
蝶々が羽を、
ひらひらさせたみたいで、
綺麗だと思った。
手のひらに触れてる唇は、当たり前のように柔らかい感触で、俺の欲をつついてきて。
それが庇護からくるものか、それ以外なのか。
考えるのは、放棄した。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年2月16日 16時
