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しまった、って顔までセットでテヒョンさんの顔見返してしまって、今更取り繕え無くて挙動不審に視線をあっちこっちに泳がせてしまった。
そしたら、ぷっと。
TH「A、ユンギヒョンみたい」
ぎゅっと完璧な形の瞳の真ん中がゆるく弧を描いて、きらっと目が輝いた。
YG「おーい、なんか良くない例えで俺の名前出したやついなかったかぁ?」
後ろの方から声がかかって、この会話を皆聞いてんなって気付いた。
私はさらに焦って、あーってなって思わず片手で顔を覆おうとしたら、その腕取られて引っ張られた。
TH「座って。まだ離陸まで時間あるでしょ」
確かにシートは、二人座っても十分な広さだけど。
テヒョンさんはシートをリクライニングにして足を伸ばして端っこに居て、私は足を降ろせる方に座ったけど。
顔、ほぼ真横なんですけど?
『適正な距離が確保できないので、立ち上がってもいいですか?』
TH「わざわざ丁寧に聞かれても、いいよって言うわけないって思わないの?」
うーん、だよね。
『じゃあ、もう大丈夫みたいなんで、自分の席に戻ってもいいですか?』
TH「日本にぃ、行くんだカラ、これから日本語で話そうか」
『…わあ、そう来ますか…』
NJ「上手いな、テヒョン」
隣のシートのナムジュンさんが、私とバチっと目が合って、どういう意味だかウィンクしてきた。
NJ「ファイティン」
ファイティンじゃないでしょうが。
ほんと、何普通に、テヒョンさんの恋路を全力応援してんだこの人達。
なんかもう、私がどう振る舞ったら良いかなんて、小さな事で悩んでるのかなって思えてきたよね。
だから。
ふっと肩の力抜いて。
ナムジュンさんからテヒョンさんに視線を映して。
『心配しました。あんな怖い思い、いつもしてるなんて思わなかったから』
取り繕う必要なんかないなら、いつもの私で話せばいい。
『それでもきっと、テヒョンさんの人生は、楽しいことの方が多い。
そうですよね?』
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年1月30日 20時