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ジミンさんとジョングクさんの時も、テヒョンさんの時と同じようなパニック系だったけど、SPの方は慣れたもので、押し出そうとする方々をひょいと押しやり、飛び出した方をすいっと軌道を変えたりして。
足早にこちらに向かってくる彼らの表情も、テヒョンさんみたいに強張ったものじゃなく、いつものことだって感じの仕事モードの顔してた。
D「どうだった?」
最後のソクジンさんをセキュリティゲートに見送った後、ドユンさんが私にそう尋ねた。
その言葉で、なんとなく。
おそらくセジンさんか、ホボムさんか。
私にこの空港内でのメンバーごとの空気感の違いを、ちゃんと見せておきたかったんだろうなって。
『入出国は、気を抜いたら駄目だってことがわかりました。
メンバーのメンタルも、ペンの方々の動向とかも、
…それ見守る私が、どれだけ冷静でいられるかとか』
それ以外に言葉がなかったんだけど、ドユンさんは私ににこっとわらって、両手で丸を作ってくれた。
D「人生の酸いと甘いを一通り経験した35歳として、大正解の回答です」
『未だ人生入口付近の20歳の大正解に、大訂正をお願いします』
オーバーな動きに、思わず笑おうとして頬が引きつったから、思った以上に自分が緊張してたんだって気付いた。
そんな私にドユンさんは、ぽんって背中叩いてくれて、
D「ほい、力抜いて。じゃあ、SPの方々に挨拶行こうか」
そう言って空港対応の後処理をした後に、私はドユンさんと搭乗口へ急いだ。
こういう事が、日常であって。
皆さんが、それにどう向き合ってるか。
向き合えるものを、向けられてるのか。
ライブが光なら、この場所が闇の露出するところなんだなって。
空港なんて本来ただの、
公共の交通機関だってのにね。
そりゃあ、心が弱った日には、
ふらっと逃げ出したくもなる。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年1月30日 20時