◆You◆ ページ1
シャワーブースの椅子に座らされてテヒョンさんに髪を乾かされてる間、手持ち無沙汰なのとどうにも気恥ずかしいのとで、どうしていいかわからずちょっと黙り込んだ。
ホボムさんはなんでコレを許可できるんだろう、って思いつつ、ミサキから聞いてた彼らの接触距離の近さを考えると、メンバー間では普通のことなのかもしれない、って思い直した。
地肌を時々くすぐる指が、さっきのパフォーマンスでマイクを持って歌ってた手だと思うと、ちょっと変にドキドキしてくる。
みんな、本当にかっこよかった。
生の威力ってはんぱない。
なんか魂持ってかれたような気がする。
不意に風が止まって、
TH「うん、いいんじゃないかな」
って私の髪をすきながらそうOKを出されたので、私は伏せていた目を上げて、立っているテヒョンさんを見上げた。
化粧を落としても、かっこいいもんはかっこいい。
あと、すごく優しい。
どうだったかな、ジンさんはこんなに優しかっただろうか。
いたずらっ子で、びっくり箱みたいな人だったけど、こんな風に私に触れて、私を甘やかそうとはしなかった気がする。
テヒョンさんは、どうして私に優しくするんだろう。
あ、うん。
この疑問は、回答を求めたらいけないような気がするぞ。
『…ありがとうございます』
私は思考の泉をぎゅっと締めて、ぺこっとお辞儀して、ブラシでがしがし膨らんだ髪を整えると、ひとつ結びに結んでくるっとお団子にした。
『すぐにここ、片付けます。私のせいで食事の時間押しましたよね。急ぎます』
そう言って背中を向けて、まだ置いてあった個人個人の洗剤とか化粧品とかざくざくバックに戻していく。
テヒョンさんもホボムさんも手伝ってくれて、ほんの5分もかからなかった。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年1月30日 20時
