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『答えたくない』
とっさに日本語で返事すると、テヒョンさんは明るい声で、
TH「あれ、どうして？」
って私の手を引き寄せて、膝の上でポンポンさせた。
引っ張られたせいで、ちょっとそっちに体が傾ぐ。
私は手を取り戻そうと引っ張るけど、ほんとに固く繋がれてて全然抜けない。
『プライバシーです』
冷静さは声だけで、ほんとは心臓がうるさいくらいドキドキしてるし、手汗かかない体質なのがほんと良かった、って思うくらい手が熱くなってきた。
TH「それ英語デショ。ねえ、お店に着くまで、俺の日本語のセンセイしてぇクレませんか？」
また断りづらいことを…
手も振りほどけそうにないし、頭も痛くなってきた。
私はこの状況をどう対処したらいいかちょっと迷って、ちらってホボムさんを見たけど、たぶん寝てる。
狸か本気かわからないけど、私達のことにノータッチってのは態度でわかる。
『…わかりました。でもとても上手ですよ』
TH「そんなコトない。会話が1番のレンシュウになるって、Aが言ってぇたカラ。レンシュウ、しよ？」
したくない。
って言いたいけど、それならなんのために私はここでマネージャー業してんのかって話だよね。
私は手からなるべく意識を切り離すことに集中しつつ、テヒョンさんの提案に、おごそかに頷いた。
TH「あ、頷いたネ。じゃあ、さっきの質問答エテよ」
『答えないって言いました。はい次』
TH「手強イナ。じゃあ、好きな人いる？」
『いません』
TH「即答だね。ホントぅに？」
『二度は答えません。はい次』
TH「これレンシュウになってナイよ。ちゃんと会話してぇくれナイと」
『テヒョンさんは、ちゃんと長い文章話してるから、いいんです』
TH「かわいくナイな」
ぼそ、って言うから、思わず横向いてしまった。
ずっと頬に突き刺さってた視線がバチンと私の目を捕まえて、
TH「ウソだよ。すっぴんもかわいいね。ナツカシイ、で合ってる？」
ああもう。
せめて笑っててよ。
そんな真顔は、望んでません。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年1月30日 20時
