一話 ページ3
「楡さん!!!!」
『う、わっ』
耳をつんざくようなアオイの金切り声で
意識が現実に引き戻される
慌ててパッと顔を上げると
大量の寝間着を抱えたアオイが怒った顔で立っていた
「楡さん、昨日も夜更かしして薬の研究してたんでしょう。また座ったまま寝て、質の悪い睡眠だと日中眠くなってしまいますよと何度言ったら分かるんですか」
『ごめんごめん…』
眠い目をこすりながら乱れた隊服を整える
どうやら新しく開発した薬の調合法を記録していたうちに、そのまま眠ってしまったようだ
『アオイは本当にお母さんみたいだなあ』
「いい加減にしてください」
そう言ってアオイは私に
大量の寝間着を押し付けてきた
任務で怪我人が出たのだろう
ここは蝶屋敷
蟲柱である胡蝶しのぶ様の私邸であり
怪我をした隊士の治療場としても使われている
私が刀を捨てたあの日から
胡蝶様がここに住まわせてくれるようになった
『重傷者は多いの?』
「ええ。那田蜘蛛山での戦いで、何人も」
そう言ってそそくさと向こうへ行ってしまうアオイの後ろを慌てて着いていく
ふと外に目をやると、まだ日が出たばかりのようで
朝日が眩しく屋敷の中を照らしていた
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作者名:まままんぼう | 作成日時:2019年12月15日 11時