九話 ページ11
義勇から逃げるように駅にやって来たけれど、少し早く来すぎたようで
まだ列車は駅に到着していなかった
駅弁でも買って列車が来るまで待っていよう
そう思って荷物から財布を取り出そうとした時だった
「Aさん!」
『あら、炭治郎くん!』
向こうから炭治郎くんがやって来るのが見えた
善逸くんと伊之助くんたちも一緒だ
「ご無沙汰してます!」
『3人とも怪我が治って良かったわね!これから任務?』
「あっいやそうじゃなくて。俺、煉獄さんに用があるんです」
『煉獄さんに…?』
「はい!煉獄さん、これから来る列車に乗って任務に向かってるみたいで…」
それから炭治郎くんは列車が来るまで私とベンチに座り
いろいろなことを話してくれた
家族を殺され、妹が鬼になったこと
義勇の紹介で鱗滝さんの元で修行し、妹を人間に戻す方法を探すため鬼殺隊になったこと
炭治郎くんのお父さんが昔"ヒノカミ様"に捧げる神楽を舞う時に、火の呼吸を使っていたということ
その呼吸法で技を出すことができたが仔細が分からないため
"火"と関連する"炎"の呼吸を使う煉獄さんに詳しい話を聞きに来たこと
私は"怪我をした隊士"としか認識しておらず
彼の事情はあまり知らなかった
竈門炭治郎くん
この子も私と同じように、鬼に家族を殺されたんだ
「あ、あの…」
『ん?なあに?』
「村田さんから、Aさんは1年前まで鬼殺隊として鬼と戦っていたと聞いたんですが…」
炭治郎くんが申し訳なさそうに
私から目を逸らした
確かにこの話をするのは好きではない
でも彼に教えるのは
不思議と嫌なことではなかった
『ええ』
「!や、やっぱりそうなんですね!」
『でも辞めちゃった。私の判断ミスで、大勢死なせちゃってね。もう刀を握れなくなったの』
「そうなんですか…」
答えてくれたことに驚いて
また私の方を向いた炭治郎くんだったけれど
理由を話した途端
また申し訳なさそうに、私から目を逸らしてしまった
『…あ!そうそう。私も鱗滝さんの元で修行してたのよ』
「えっ、そうなんですか!?」
『ええ。だから最初は水の呼吸を使ってた。でも、私には合ってなかったみたいでね。煉獄さんの継子になって、炎の呼吸を使い始めたの。でもそれも合ってなかったみたいで、炎の呼吸から派生した木の呼吸を使うようになったのよ』
私の家、材木屋だったしね
と、冗談っぽく笑ってみせると
炭治郎くんも安心したようにハハッと笑ってくれた
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作者名:まままんぼう | 作成日時:2019年12月15日 11時