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プロローグ ページ1

東の空がおぼろげに白く染まり
遥か遠くの山が姿を現した

もうすぐ夜が明ける

喉が焼けるような血の匂いが
少女の頭を掻き乱す

助けを求めるように動いていた隊士たちの指先も
今はもう石のようにぴたりとも動かない

この広い森で生きているのは
鬼殺隊、楡A
ただ一人

波打つ心臓の鼓動が共鳴し
乱れた息までもが彼女の鼓膜を破るようだった

「君は殺さないよ」

男は笑って言った

「君の誤ちによって大勢の命が失われたんだ。そんな中、君は生き残った。君1人だけ。君のせいだというのに」

もうすぐ夜が明ける

早く、早く斬らなければ

震える手で必死に刀を握る
けれどもう、身体が動かない

足が、腕が、鉛のように重い

もう刀を握るだけで精一杯だった

「自分だけ助かった気分はどうかな」

その言葉を残し
男は僅かに残った闇と共に消え去った

山の麓から顔を覗かせた陽の光が
少女の琥珀色の瞳を照らす

血の海に独り取り残された彼女は
その日、刀を捨てた

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作者名:まままんぼう | 作成日時:2019年12月15日 11時

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