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『おはよう、永崎』
「おはよ、小瀧くん」
キャーって大歓声浴びるってほどじゃないけど、わたしの学校にもいる『王子様』
この学校の女の子のほとんどが彼に惚れてるくらい、嫌いなひとはいないってくらい、そんな王子様。
わたしもそのひとりで。
普段からよく喋るけど、それは同じクラスっていう特権で。
『………………永崎、ちょっとええ?』
王子様に呼ばれて、すっ飛んでいくと、どうやら職員室までみんなのワークを運びたいらしい。
「うん、いいよ」
どんなことでも頼ってくれるのはうれしいし、彼とふたりで行動を共にするのだってうれしいんだけど、重たい。
運び終わって、サンキューなって笑いかけられた。こんな笑顔見られるなら、いつでも手伝うよって感じ。
彼のことが好きで好きでたまらない。
だから、わたしは最近告白のチャンスを狙ってたりしていて。
それは偶然にもやって来た。
『手伝ってくれたお礼に、ジュース買うてやるよ』
「当たり前やろ」
『ま、いくで、ほら』
彼が伸ばした手に、緊張とトキメキとで、すごいあせる。
隣を歩く彼の横顔。見てるだけで飽きなくて、うっとりしてれば、なに?と気づかれ。恥ずかしい思いするのにやめられない。
『………………おれなぁ、最近告白されてん』
小瀧くんのだめなところは、自分がモテている、と分かっていないことだ。これだから罪。
「………………よかったじゃん、」
『しかも先輩。笑ってまうよな(笑)』
わたしも告白したら笑われてしまうのかなぁ、と自販機のボタンを押す手が震える。
ふ不思議に思った小瀧くんが、永崎?とわたしの顔を覗き込んでくるけど、なんかうまく笑えない。
「………………小瀧くんさ、わたしが好き言うてもそうやって笑う?」
『は?だってお前に限ってそんなことないやろ?』
わたしは完全に彼にとって友達だ。
はよ押せって言うから、適当に紅茶を買って、しゃがんで手を伸ばした。
ガコン、と音がして落ちてきた、細めのペットボトルを手に取る。
「………………わたし好きだよ、小瀧くんのこと」
わたしのその声だけが、響いて。沈黙が続いていく。
それからふたり気まずいまんまで、彼は返事をくれないまんま、帰り道を歩いていった。
『さっきのさ、』
「うん、」
『ごめん、おれ。
……………サッカーに集中したい、いまは』
「うん、」
失恋、した。
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☆ - 1【ふ不思議に思った】→「ふ」いらない、 ページ3【はじめて足の側面の真ん中にボールか当たって】→ボールが、 ページ5【たラインするわ】→またラインするわ じゃないですか? (2017年9月28日 16時) (レス) id: 1a0acc03b3 (このIDを非表示/違反報告)
櫻子(プロフ) - とっても青春!て感じでキュンキュンしました。小瀧くんsideも見てみたいです! (2017年9月11日 8時) (レス) id: a65096bb52 (このIDを非表示/違反報告)
れ な(プロフ) - 楓花さん» 敬語やからうちのこと分かってないんかな…?あれ?いや、ほんまにシゲ書いてほしい…おしげ。 (2017年8月30日 13時) (レス) id: b8c40dadba (このIDを非表示/違反報告)
楼 梛 。(プロフ) - 楓花さん» 楽しみにしてます! (2017年8月30日 13時) (レス) id: 1af13679f7 (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - スズさん» ありがとうございます!そのうち、続編書かせてもらいます! (2017年8月30日 13時) (レス) id: 3e07948000 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楓花 | 作成日時:2017年8月19日 1時