水しぶき。【小瀧】 第二章。

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「…………え？な、なに言うてん(笑)」

神山「やから、付き合っ…………」

「ちょっ、ストップ！！」




わたしはいま、告白されてるんだよね。
そう考えるとまた顔が赤くなってくのが感じる。




神山「どう…………？」



神山くんの順位は知らないけど、もし負けていたら。

そう思うとなんだか苦しくて。



遠い場所にいる小瀧くんが、もっと遠くなってく気がして。
自分から遠ざけていってる気がして。




「ごめん、」




無意識に唇が動いていた。

神山くんは、一瞬悲しい顔見せて、やっぱりか、って笑って。
それから、それからは、

視界が滲んでよくわからなくなった。





神山「んじゃっ、デートとか！
………そんないやらしいもんやなくて、ほらっお出かけ！」

「…………ごめん、」



神山「んーと、カラオケでもなんでもっ！山崎さんが、いきたいとこ一緒にいこうや」

「…………ごめんね、」





わたしが顔を伏せた、と同時に肩に体重がのって。
視界がぐるぐると回る。



「……った」



眩しい部屋の電気の光、下に溜まっていた涙は頬に沿って流れてく。

その雫を優しい手がぬぐって、わたしと同じような表情の神山くんが現れた。

わたしの上にのって、悲しい目で見つめてくる。



もうボーっとでしか彼のことを見つめられなくて、頭のなかどこかで小瀧くんを思い出すわたし。

最低だ、と分かっていても、好きな気持ちは止まらない。




１０年たって、また動き出したんだから。




もう絶対止まらない。止まらせない。







神山くんの口が小さく動く。




神山「…………だめ？」


「……………………え？」


神山「俺じゃあ、だめなん？」







恋愛漫画のようなセリフ。
王子さまみたいなこと言うんだ、神山くんって。


低いけど甘いトーン、耳に残る素敵な声。
くしゃって笑う顔も、その優しさも、きれいな心も王子さまみたい。






でもごめんね。
わたしは、完璧なヒロインじゃないから、神山くんのヒロインにはなれないの。









「……………………ごめんなさい」

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