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長いキスは、わたしにはちょっと刺激が強かったみたい。
苦しくなって、でも頭に手が回されていたから逃げられなくて、のんちゃんの胸板を軽く叩く。
『ごめん』
のんちゃんの声も少し弾んでいる。
照れ臭そうにふはって笑うと、わたしにもたれかかるように、背中に手を回した。
わたしの頭の上に乗る、のんちゃんのあごがくすぐったくて。
わたしものんちゃんの胸に顔を埋めるように、のんちゃんを包み込む。
「でも、これからどうするん？」
すると「お前んちいく」なんて返ってきたから、変な声を出してしまった。
『ふっ、うそやて(笑)』
両手を頭の後ろで組んで、「ホテル暮らしか、バイト生活かなあ」って、黄昏てるようだ。
帰るか、なんて帰る場所もないのに、わたしに手を伸ばした。
「………い、いいよ、うちなら」
『え？』
のんちゃんは、言葉の意味がわかると冗談やったんやけど、なんて照れ臭そうに下を向いた。
「照れてる？」
『ちゃうよ』
そう言って、手の甲をほっぺにあてる癖は、小さい頃からなんも変わってないんだ。
じゃあ、アパート決まるまで、なんて笑って。
お世話になります、と軽く頭を下げた。
その顔が、喜んで照れてるその顔が、嬉しくて、楽しくて、いとおしくて。
わたしは、ちょっと背伸びをして、のんちゃんにキスをした。
したはずだ。
あれ？届いていない。
頑張ってつま先立ちになるけど、届かない。
「…………え、なんで」
驚くように目を見開いたのんちゃんは、楽しそうに届かないわたしを見て笑ってる。
のんちゃんの襟を掴んでグッと引き寄せようとするけど、届かない。
「…………なんで！ムカつく」
諦めて、背伸びをやめるとのんちゃんを叩いた。
『なんかさあ、幸せすぎて泣きそうや』
上目使いでのんちゃんを見つめる。
こんな距離、いつのまに空いてしまったんだろう。
「…………して」
『ん？』
「……………………もっかいして」
そう言うと、しゃあないなあ、って。
風になびく髪を、すらりと耳にかけられて、そのままわたしの髪の毛をなぞる。
わたしの目を見てはにやけ、そらし。
そんな彼が大好きで大好きでしょうがない。
『忘れてたぶん、これから好きでいるから』
な？って顔を覗く彼に答えるように、彼の手を優しくきゅっと握って静かに目を閉じた。
また触れた甘い香り。
いままでも、これからも、いつまでも。
大好きな匂いだ。
.
終わり。
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楓花(プロフ) - Moekoさん» ありがとうございます！甘噛みも水しぶきも読んで下さりとてもうれしいです！ありがとうございます！水しぶきの方は甘噛みより書き方がグダグダでしたが、そう言ってもらえてとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2018年3月26日 23時) (
レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
Moeko(プロフ) - 甘噛みピアスを読ませていただいて、楓花さんの小説の書き方にハマりました！それで、この小説を見つけて呼読んでみたら、後半泣いてしまいました！とても、良かったです！これからも頑張ってください！ (2018年3月26日 16時) (レス) id: 1f431c2243 (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - 綾小瀧さん» こんな昔の作品を読んでくださり、ありがとうございます！泣かせるつもりはなかったんですけど（笑）感動してくれたのなら嬉しいです！これからも頑張るので、よろしくお願いします！ (2018年3月8日 16時) (レス) id: 3e07948000 (このIDを非表示/違反報告)
綾小瀧(プロフ) - 後半、涙が止まらなくなってしまいました。本当におもしろかったです！これからも頑張ってください！ (2018年2月27日 16時) (レス) id: d50cc77518 (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - こたきしょこらさん» ありがとうございます！泣かせる気はなかったんですけど、そう言ってくださりうれしいです。これからもがんばります！ (2017年8月29日 17時) (レス) id: 3e07948000 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楓花 | 作成日時：2017年6月5日 22時
