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蜃気楼*18 ページ18

*





……北山はあの後、息を引き取った。
北山が望んだことだけど、
俺が、俺の手でしたことで。




とてつもない罪悪感に駆られた俺はもう3日も会社を休んでいた。
もしかしたら、呼吸器を外していなければ、それ以前に、あんなに話をさせなければ、

……北山はまだ、生きていたかもしれない。




ぐ、とこみ上げてくる吐き気にも、
ろくに食事もとっていないからか吐くものもなく、治まるのを待つしかない。




陽が昇り、なんとなく目を覚まし、
ぼんやりと宙を眺め、北山のことを思い出し、
どれだけ流しても枯れない涙を流して、
そんなことをする間に陽が落ちて、
北山の香りがもう消えてしまいそうなベッドにもぐりこんで、浅い眠りの中また朝を待つ。




昨日、渉が訪ねてきて、俺に気を遣っていろいろ買ってきてくれたみたいだった。
やつれた様子の俺を見て、ひどく言葉を失ったようだった。



そりゃ、8年も前から心の中にいたあいつが、死んでしまったのだ。しかも、2度も。
空いてしまった穴を塞ぐものは今後現れることはきっとないだろう。
俺の精神は限界だった。




この3日間、
何度も死んでしまいたくなった。
何度も刃物を手に取ったし、何度もネクタイを手に取ったし、
それでも、できなかった。





"……おまえが、……生きてくれて、よかった"





あんな言葉を残していってしまうなんて、ずるい、
そんなこと言われたら、生きるしかないじゃないか、
わけのわからない文句をもういない北山に心の中でぶつけた。



「……滅入るな」



…もう相当滅入っているというのに、
北山がさいごに俺に残していった言葉は、俺の心に深く突き刺さり、いつまでも抉り続ける。




カーテンの隙間からオレンジ色の光が差し込む。
あぁ、今日ももう陽が沈む時間か。




もう沈みきっている心がさらに沈んでいく感覚に陥る。
夜になると、余計に悲しみが心を支配するから、早く寝てしまいたい、と、ベッドにもぐりこむのに、
日中何もしていない俺の体は疲れているはずもなく、なかなか寝つけない。




やっと意識を手放してから少しあと、浅い眠りから目が覚めてしまった午前3時。
もう眠る気にもならず、体を無理やり起こした。




リビングのソファーに座り、ぼーっと時間を過ごす。
テレビの横の棚に、俺と北山の分身が座っている。




なんか俺、時間とか戻してたな、そういえば
全部、夢だったのかも
北山が死んだことも、全部……
そう思いたかった。





*

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しょこら(プロフ) - Hina.Tamaさん» Hina.Tama様、お読みいただきありがとうございました!!そう言っていただけて嬉しいです。。゚(゚´ω`゚)゚。 (2018年7月27日 0時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
Hina.Tama(プロフ) - しょこらさん初めまして。本編完結おめでとうございます!ハラハラドキドキな展開に毎日更新を楽しみにしていました。素敵なお話本当にありがとうございました!! (2018年7月27日 0時) (レス) id: ca7c7000b2 (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - 日美さん» 日美様、ありがとうございます!そのように言っていただけて本当に嬉しいです。゚(゚´ω`゚)゚。 (2018年7月27日 0時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
日美(プロフ) - 初コメ失礼します。更新お疲れさまでした。初めて更新されたときから毎回更新がとても楽しみな作品でした。とても大好きなお話です!また次のお話も楽しみにしています……!! (2018年7月26日 23時) (レス) id: 86fe79ef6e (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - askiiii...xxxさん» ありがとうございます!更新頑張りますのでよろしくお願いします!⊂*`∀´⊃ (2018年7月18日 10時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しょこら | 作成日時:2018年7月13日 12時

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