赤い牙*63 ページ13
*
「はぁー……」
人間界に戻り、結んでいたネクタイをゆるめる。
……これからどうしよう。
どうすれば俺たちの関係を解消しないまま、できるだけ長く一緒に過ごすことができるだろう。
じっと考えても、学のない俺に思いつくはずもなかった。
ぴんぽーん
…誰？
今日誰か、来る予定だったっけ？
着替える間もないまま、玄関へ向かう。
「はーい」
「…太輔、俺！」
「宏光！…どうしたの急に」
「……へへ、会いたくなって来ちゃった」
玄関先、ぎゅう、と人目も気にせず扉も開けたままで抱きしめた。
かわいすぎだろ……
不安に思っていたことがなくなりはしないけど、宏光の存在だけで、少しその気持ちが軽くなっていくのがわかる。
「…入って」
「うん」
もうこの部屋も慣れたもので、宏光は入ってくるといつものように上着をハンガーにかけ、決まった場所にかけた。
そしていつものように、ソファの端に座った。
「…また、向こうに行ってたの？」
「あー、…うん、そう」
「最近勉強忙しそうだな」
「んー、…母親がうるさくてさ」
話しながら、宏光の隣に座った。
「…あのさ、実は、わかったことがあって」
「ん？どしたの」
「俺たち、その…ハーフ同士ではあるけど、天使とヴァンパイアだろ。……俺、天界の方の学校にも籍置いてるんだけど、そこの図書館で本を見つけたんだ」
「……何」
宏光は、少し言葉を選ぶように、口を動かしながら、俺の目を見つめた。
「…俺たちが、ふたりで生きていける方法が、ひとつだけあるかもしれないんだ。本で見ただけだから、本当かはわからないけど………」
ざざっと全身に鳥肌が立ったのがわかる。
「…どうして、そんなこと調べて、」
「……俺、このまま太輔に血を捧げ続けたら死んじゃう。それでもいいって思ってた。だけど、……俺やっぱり、太輔と、できるだけ長く一緒にいたいって……お前のこと、…お前といること、どうしても諦められなかったんだ」
きゅ、と目を細めて笑う。
その表情を、どれほど愛おしいと思ったか……言葉で表すのが難しくて、ぎゅっと力いっぱい抱きしめた。
「…俺もずっと、それについて勉強するために実家の書斎に出入りしてたんだ。…でも、宏光とのことが母さんにバレて、…もうそこには入れなくなった。だけど俺も、宏光を失いたくない……」
「うん、…これからどうするか、ちゃんと話そう」
*
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あこ(プロフ) - 早速赤い牙が更新されていてうれしいです！やっぱり天使なKさんがかわいくてしあわせです。しょこらさんのペースで更新されるのを楽しみにしています。 (2020年5月27日 0時) (
レス) id: 2d7ec12d07 (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - みちこさん» みちこ様。はじめまして！読んでいただきありがとうございます！ゆっくりにはなりますがまた更新頑張りますので、読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年5月26日 10時) (レス) id: 06e5afaa35 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - 初めまして^_^このお話好きで読んでいました。暫く更新なかったようなので更新されてとても嬉しいです^_^楽しみにしていますがしょこらさんのペースで無理なく(^^) (2020年5月26日 8時) (レス) id: c83a8a8018 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - しょこらさんはじめまして！しょこらさんの作品どれもだいすきです！特に熱中症シリーズのFKさんがラブラブで最高でした！赤い牙の続きも楽しみに待ってます！ (2019年2月25日 20時) (レス) id: 2d7ec12d07 (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - ともさん» まだ書いたことがないのですが、できる限り善処致します！リクエストありがとうございます！！ (2018年11月21日 23時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しょこら
| 作成日時：2018年11月16日 11時
