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暑くてむしむし。
じーーんとする夏の放課後。
隣にいるのは秋田ちゃん。
「 かっこいい 」
「 はいはい、道枝がね 」
「 道枝駿佑くんってサッカー部だったんだ...っ 」
「 あんたなんでいつもフルネームなの、ふふ 」
だってそんなの、道枝駿佑くんの
『長いから下の名前でいいよ』待ちに決まってるでしょ。
2人で歩くグラウンド沿いの道。
ゆっくりゆっくり、あくまでも会話してる風。
ほんとはサッカーしてる道枝駿佑くんを見たいだけ。
「 サッカー着姿も最高にかっこいい 」
「 A〜しっかりして〜 」
「 道枝駿佑くん、熱中症気をつけてね... 」
「 ほらほら、ぼーっとしてると前から道枝来るぞ〜 」
耳元で叫ぶ秋田ちゃんに、
"そんな事あるわけない" と言おうとしたら。
『 あっ、山下さん 』
そんな事あって、前から道枝駿佑くんが
手を振りながら小走りでやってきたのだ。
「 え、あ...道枝駿佑、くんっ 」
頬にたれる汗と暑そうに服をぱたぱたする姿。
目にぐっと焼き付けて、脳内カメラにおさめる。
『 もう帰り？』
「 あ、うん。秋田ちゃんとこの後カラ... 」
「 ああーーーー！なに？！私用事ある！帰る！」
私の言葉を遮った秋田ちゃんは
突然走り出して帰ってしまった。
もしかして、わざと、だよね。
秋田ちゃん、ほんとにありがとう明日何でも奢るよ大好きだよ。後でそうLINEしよう。
『 友達変わってんな〜 』
「 ふふ、秋田ちゃんは良い子だよ 」
『 んは、そうやんな 』
キラキラ輝く道枝駿佑くんを見つめていると
突然周りを見渡した道枝駿佑くん。
すると彼は少し縮こまって、
この緑色の網の隙間をくぐってこちら側にやってきた。
「 ええ！ちょ、バレたら...っ 」
『 しー 』
「 わっ 」
『 ちょっと休憩。
バレへんやろ、こんくらい 』
道枝駿佑くんはそう言って
私の手を取り、小走りで抜け出した。
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作成日時：2022年5月27日 18時
