あの日の月は綺麗だった

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｢さぁ、あべちゃん。吐いてもらおうか｣
｢なんの話？｣

The居酒屋といった、大きなジョッキを両手で包むように持って飲んでいるあべちゃん。
ほんまにあざといな...

｢決まっとるやん！さっくんのこと。いつから好きだったん？｣

めちゃ気になる。
2人はもちろん仲良しやったけど、あべちゃんの中ではそれがいつ恋に変わったんやろ。

｢いつからねぇ...｣
考え込むあべちゃんを横目に、ふっかさんは食べ物をつまみながら飲み進めている。

｢もしかしたら一目惚れだったのかな？わかんない笑｣
｢なんやそれ〜｣
｢気が付いたのは康二のおかげなんだ。多分もう10年以上好きで、自覚したのは最近...｣

10年以上!?

俺の3年くらいで長いなんて甘かったなぁ
そんなに想われてるさっくんが羨ましい。

人を好きでいることも簡単なことやないもんな。
それもメンバーみたいに近い関係だと、辛いこともいっぱいあったやろな。

｢俺、なんもしてないで｣
｢嫉妬して初めて気づいたんだ。___し過ぎて変なこと考え出しちゃったんだけどさ笑｣

これは、
謝るべきなんやろか...
それとも素直に役に立てたってことで
喜んどくべきか...

｢今度あべちゃんからスキンシップしてみたら？｣
｢ええやん！｣
料理とお酒を楽しんどると思っとったふっかさん。
ナイスなアイディア！

｢俺から!?ん〜、例えばどんなことすればいいと思う？｣

どんなこと...
普通にハグとかかなぁ

｢座ってる横にピタってくっつくみたいに座りなよ。腕とかも組んでみたりさ｣

おお〜
ふっかさんはそういうのが好きなんや。

｢可愛くてええね！｣

｢ふふっ。ね、可愛い。ふっかはそういうのが好きなんだ｣
｢あー、あべちゃん。それ以上言うなよ｣

...また2人だけの話。
俺には分からん同期の絆があるんや、って思うと寂しい。




☆☆

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