深海ヘヴン【羽生結弦】

スピリット (Y) ページ13

今日はAの20歳の誕生日。


俺はまだ19歳で、Aよりは少し年下。


先に大人になっていくAに距離感を感じながらも、もう半年もしたら俺も20歳になるんだなと時の流れの速さを実感する。


Aへのプレゼントは何にしようかと悩みに悩んだ結果、ピンキーリングという形で収まった。


これをAには左手ではなく右手につけて貰うのが俺からのプレゼント。


ちゃんと右手っていうのには意味があるけどね。


ウキウキした気分で歩いていると、あっという間にAの家についた。


鍵を開けて、体を滑り込ませる。


今日はあらかじめ行くと言ってあるし、サプライズでもないから大きな声でただいまー！と言った。



……が、返事が無い。


あれ、ただいまって言ったのがまずかった？


正しくはAの家だし、俺の家じゃないからおじゃましますになるのか？


いや、でもこの前俺がおじゃましますと言って入ったときには他人行儀で嫌だとAに怒られたし。


どこかにでかけてるとか？


いや、それはない。


Aはきっちりした性格だから、俺を置いていくなんてことまずしないし、一日中家にいるねーとちゃんとメールまでしてくれた。


じゃあなんだ？と思いながら足を進めると、なんとそこには。


机の上に突っ伏しながら天使のような寝顔ですやすや眠るAの姿が。


……それと、空になったワイン。


え、一本飲んだの！？

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