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深澤「 ちょ、待てって 」
「 ………離して 」
立ち上がろうとして立ち膝になった時に掴まれた左手。
振り解こうにも振り解けない。
「 ……ねぇ、ふっか、だめ 」
深澤「 …何がだめ？ 」
「 これ以上、ふっかといたら…私、壊れちゃう 」
深澤「 …なんで？ 」
「 なんで、って… 」
深澤「 ………俺も、 」
「 …ん？ 」
深澤「 ……俺も、壊れそう 」
掴まれた左手が熱い。
いつもヘラヘラ細めている目は、いつになく真剣で緊張感が漂う。
その目と私の目が合った時、涙が出そうになった。
自分でもわからない何かが胸から込み上げてきて、でも言葉に出来なくて。
…私、知らない、知らないよ。
これが何なのかも、これを伝える術も。
深澤「 ごめんな 」
何が？そう言おうとしたけれど、言葉にならなかった。
掴まれていた左手を引っ張られて、ふっかに抱きしめられたから。
「 ………っ、やだ 」
深澤「 うん 」
「 …っその余裕な感じも…っ安心感も…っ暖かさも… 」
深澤「 うん 」
「 …っ優しいところも…っ心配してくれるところも…っ全部全部 」
深澤「 うん、あとは？」
「 ………っそれを、心地良いって思ってる自分も！ 」
深澤「 ごめん、ほんとごめん 」
言わないって決めていたはずの言葉が、台本に書かれていたかのようにスラスラと出てくる。
薄いけどしっかりしているふっかの胸に顔をうずめて泣きながら話す私の背中を、トントンしながらあやすようにして相槌を打つふっか。
深澤「 今、言う事じゃないかも知れないけどさ、
…………好きだよ、Aの事 」
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作者名：未 | 作成日時：2021年1月28日 20時
