最初はお友達からで……【knd】 ページ9
［大学］×［片想われ］
※性別女固定、若干の下注意
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大学の講義が終わり、生徒達がぞろぞろと講義室から居なくなってゆく。どうしても、すぐに動く気にはなれなくて、席に座ったまま板書を終えた黒板を眺めていた。ガヤガヤと騒がしい生徒達の中から、聞き覚えのある声が聞こえて、きゅぅ、と胸が締め付けられる。
── いい加減飽きたからさ、別れてくんない？
── だって、股開かねーんだもんお前。ガード硬すぎ、純情ぶってんの？
── 浮気？別に良くない？何が悪いの？
思い出したくもない記憶が脳裏に浮かぶ。
昨日、私は彼氏に振られた。
見た目ばかり真面目そうな好青年なくせに、中身は正反対の屑野郎。
振られた理由は浮気。浮気された、というよりかは私が浮気相手だった。その上、飽きたからと捨てられ、悪びれた様子もなく平気で彼女さんと連絡を取っているのを見て惨めになった。
その時から、私の気持ちはずんと沈んだまま暗く淀んでいる。それなのにこの世界は無情にも、私を一人置いて、昨日と変わらない日々を進めていく。
別に、それが普通で当たり前の事だし、私がこの世界の主人公だとか、大層なことは考えてないけど……。
── あまりにも辛すぎるじゃない。
「何かあったんですか？」
「ッ！？」
感傷に浸っている中、いきなり話しかけられて驚いた私は思わずビクリと大きく体が仰け反った。
「さっきから、その……凄く泣きそうな顔してたんで……。」
声のした方をちらりと見れば金髪の糸目の男性が立っていた。悪く言えば軽薄そうな、チャラそうな見た目に顔が強張る。全く身に覚えの無い人。少なくとも私の交友関係には絶対にいなさそうな人に、詐欺か何かで傷心中の私を狙ったのかと変に勘繰る。
「だ、大丈夫です！そんなっ……大層な……、はな、し、じゃ、」
早くこの場から逃げなきゃと考えつつも、言っているうちに目頭が熱くなってどんどんと声が小さく掠れていく。顔を見られたくなくて俯けば、目から落ちる涙がぽたぽたと私のスカートを濡らしていった。溢れる涙をごしごし擦っても止まる気配はなくて意味もなく焦ってしまう。
どうしよう、今絶対酷い顔してる。
「……ぐすっ……うぅ……ごめ、なさいっ……嫌なこと…ぁって…。やだ、涙、止まんない……。」
「あの、Aさんが良かったら、話聞きますよ……？」
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作者名：麻種るの | 作成日時：2021年8月6日 0時
