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季節の変わり目、今日は少し肌寒いな、なんて思っていた矢先。あまりにも突然のことだった。
ぶわり、一際強い風が吹く。
「わっ、」
「……ッ！」
風にあおられてバランスを崩す私の腕を引っ張りグイッと引き寄せてアクシアが抱きしめる。
いきなりの事に私は呆然としてしまい、この状況を把握するまでに数秒の時間を要した。
「……アクシア？」
「あ、……ご、ごめん。」
恐る恐る呼びかけると、彼は一瞬ハッとした顔をして戸惑う表情を見せた。彼自身も自分の行動に驚いていたようだった。
「ふふっ。どうしたの、珍しく熱烈なアプローチじゃん。」
アクシアはムッとして「うるさいなぁ！」と怒った。
それがさらに可愛くて、ニヤける顔が抑えられないでいると、どうも神妙な表情のままのアクシアに不穏を感じて言葉に詰まる。
私を抱きしめたままの腕が微かに震えていた。
「……Aが、Aがおれの目の前から、……いなくなるんじゃないかって。」
「私が……？」
「そしたら身体が、勝手に動いてて……。なんでだろ、なんか凄く怖くて。」
酷く泣きそうな顔をして、掠れた声で言った。
心配そうに私を見つめるアクシアが、嘘を言っているようには思えなかった。
──── 嗚呼、そうか。
あの
やけに納得のいく答えだった。
それと同時に、勝手に一人で不安がっていた自分が馬鹿らしく思えてくる。絶対なんてないけれど、少なくとも今は、彼は私のことを見てくれている。
彼の頬へ手を伸ばした。
伏した睫毛の奥から覗くスカイブルーの瞳に反射して私が映る。
私は名残惜しそうに離すその腕を引き止めて手を握った。この手を離さずに、ずっと繋いでいたいなと考えながら。
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饅頭の皮様リクエスト
今回は心理描写重視(？)で書いてみました。
ようやっと試験期間が終わりました…。
長らくお待たせしてスミマセン…。
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作者名：麻種るの | 作成日時：2021年8月6日 0時
