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「ただいま〜。」
「おかえり、A。」
仕事を終え、朝に帰ってくれば、もはや当たり前のように私の家に居座る不破っちが出迎えてくれる。
「お疲れ！」
「んー……おわっ！？」
そして、まるで挨拶を交わすかのような自然な動作でギュッとハグをしてくる。明らかに友達とは言い難い距離の近さに驚きつつも、嫌と感じさせないホストの手腕に凄いなぁと感嘆した。
「ちょっとー動けないから離れてよー。」
「Aが冷たい……。」
「不破っちの距離が近いんだよ。」
なんとか彼の腕から脱出することに成功する。プライベートというのに、留まることを知らない不破っちの甘々対応っぷりに胃が凭れそうだ。
「Aのことが大好きなだけなのに。」
「はいはい、そんなこと言うから女の子達が勘違いするんだよ。」
毎度言われる“大好き”にも慣れて素っ気ない態度を取る私に、不破っちは不満そうに口を尖らせて不貞腐れた顔をした。
「えー、Aは勘違いしてくんないの？」
「しなーい。不破っちに本気になんてならないよ。」
いつものように軽くあしらう。
さて、今から朝ごはんでも作るか。と準備を始めようとしたその時。
頭上から声がかかる。
── それってさ、俺がホストだから？
さっきまでとは違う、落ち着いた声のトーンでそう言った。
「ね、答えてよ。」
色の瞳と目が合う。彼が私の髪を、毛先を、くるくると弄る。
「それも、あるけど……その前に不破っちとは友人じゃん……。」
「……そっか。」
沈黙が流れる。
真っ先に破ったのは不破っちだった。
「Aのバカー！」
「はっ！？なんで！？てかうるさっ！？」
またもや不破っちが私を抱きしめ、耳元でわーわーと騒ぐ。何なんだこのハグ魔は。マジで本当に何がしたかったのだ。
「俺、プライベートと仕事は分ける派なんだけどー！」
「へぇ……そうなんだ……？」
「俺の“大好き”はそんなに安くないし！」
「お、おぉ？」
「好きでもない子に抱きついたりしないし！！」
「え……？た、ただの距離感バグ男じゃ、なかった…の……？」
「だから言ってんじゃん！」
── Aのことが大好きなんだって！
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雪音様リクエスト
ホストって距離詰めるの上手そう(偏見)。
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作者名：麻種るの | 作成日時：2021年8月6日 0時
