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「え、良いんですか？奢ってもらっちゃって。」
「これくらいで謙遜すんなって。」
そう言うと、有無を言わせず私の前をどんどん歩いていった。置いて行かれなように駆け足で追いつき、後ろをついていく。こういうちょっとした気遣いが好きなんだよな〜、と社先輩の優しさをぐっと噛み締めた。
自動販売機の前に着くと、先輩が何飲みたい？と聞いてきた。
「えーどうしよう、迷うなー。なんかオススメありますか？」
「おすすめぇ？何だろ、珈琲とか？」
「あ、自分、珈琲飲めないです。ちなみに今の気分は甘いのですねー。」
「厚かましいな！なら自分で選べよ！」
そう言いつつもなんだかんだ、社先輩はうーんと悩ましげに自動販売機を睨み続け、ついにボタンを押した。ゴトンッ、と音がして飲み物が出てくる。先輩は、取り出したそれを私に差し伸べた。
「ほら。」
「ミルクティーだ！ありがとうございます！」
私は有難くそのミルクティーを受け取る。その場で一口飲んでから、気になっていたことを聞いた。
「そういや社先輩、大仕事は終わって皆飲み会に…って行ってましたけど、先輩は行かなかったんですね。」
「俺、人多いのあんまりだし。めんどくさいじゃん。」
「じゃあ、どうしてまだ会社に残ってるんですか？ 大仕事は終わったって言ってましたし、ここらへんの部署に用は無いですよね？」
「それは……えっと……その、」
わかりやすく焦り始めた社先輩を見て、もしやと思う。
「彼女さんですかー？」
煽るように言うと、社先輩は落胆した声で言った。
「お前……本当に俺にいると思うか？」
「アッ……ｽｩｯ──……スミマセン……。」
初対面のとき、あまりにも女性の扱いに慣れていないんだろうなと感じさせる先輩の様子を思い出して察した。
「それじゃあ、尚更なぜ……？」
「…………もしかしたら、Aがいるんじゃねーかなって。久し振りに顔見たかったし……。」
先輩はそう言って恥ずかしそうに頭を掻いた。
「えー……社先輩、やさしぃ……すきぃ……優良物件〜。」
「A、冗談でもそうゆうの止めろよな……。」
「冗談じゃないでーす。」
「はぁっ！？おま、ちょ、」
どんどん顔が赤くなる社先輩を見て、私はクスクス笑った。
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きなこ様リクエスト
作者にしては珍しく元気めな夢主ですね。
色々と難しかったです。
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作者名：麻種るの | 作成日時：2021年8月6日 0時
