先輩、久し振りです【ysr】 ページ13
［オフィス］×［上司と部下］
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夜、一部だけ電灯が付いている
「明らかに仕事配分ミスってんじゃねぇか、あのクソジジイ。」
頭のおかしい上司に対して怒りを感じる事ができる程度には精神的な余裕があるとはいえ、 文字列だけで画面酔いしてしまいそうなぐらいには身体的に限界が来ていた。
「うあ〜。……流石に休憩するかぁ。」
私は大きく伸びをして立ち上がった。財布を持って休憩スペースにある自動販売機を目指して廊下に出た。
少し薄暗い廊下を歩く。怖がる程でもないけれど、誰もいないのは少し不気味だなと感じながら足早に歩を進める。
「あ！」
遠くの方に人影が見えた。何の特徴も無いよくいる普通の成人男性、というとあれだが、あの後ろ姿、歩き方には見覚えがあった。
私はバレないようにこっそりと近づいて、彼に話しかける。
「先輩っ！」
「うっわ！？吃驚した……。んだよ……Aかよ。はー、驚かせるなよな。」
いきなり声をかけられた彼は身体をビクリとさせて軽く仰け反った。顔を見れば、やはり“社先輩”だった。二ヶ月？三ヶ月？ぶりのご対面に思わず顔が綻ぶ。
「えへへ、やしろせんぱいだぁ〜。お久しぶりですね！」
「おう、久し振り。何、お前……まだ残業してんの？」
「そうゆう社先輩も残業のくせに。この時期って社先輩とこの部署、めっちゃ忙しいって聞きましたよ。」
そう言うと社先輩は、にやりと笑って私を煽るように言った。
「残念だったなA！先程、大仕事は終わりまして、皆様飲み会に行っております。」
「嘘だ……そんなことあって良いはずがない……。私は信じませんよ！」
「嘘じゃないんだよなー。」
「そんなー……。」
二、三ヶ月前は同じ部署で一緒に仕事をしていた人たちが楽しそうに飲み会をしている様子が浮かんで、軽く落ち込む。
しょうがないと自分に言い聞かせて、私は飲み物を買いに行こうとする。
「私、飲み物を買いに行ってきますね……。ではまたいつか。」
「あ、……A、待て。飲み物だろ？俺が奢るよ。」
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作者名：麻種るの | 作成日時：2021年8月6日 0時
