幸せの途中。second

K-side ページ25

真っ暗な闇の中に一筋の光が見えた。



手を伸ばしてみたけどその光には届かなくて、自分の体はどんどん暗闇の奥底に沈んでいく。








また、意識が遠のいていく…









「北山…」









誰かに名前を呼ばれてうっすらと目を開ければ光が向こうからどんどん近付いてくる。


もう一度その光へと手を伸ばしてみた。







すると今度は力強くて冷たい手に掴まれ、俺の体を暗闇の中から引き上げてくれる。









「…藤ヶ谷…？」









目が覚めたら真っ白な包帯が巻かれた自分の腕が天井に向かって伸びていた。








目線だけを横に動かすと白い服を纏った看護師さんがこちらを覗いている。





『北山さん？わかりますか？』


「…っ、ん…」


『どこか痛い所はありませんか？』






痛い所…

痛い所はないけれど、体が全く動かない。





ここは…？







『北山さん、丸二日も眠っていたんですよ。もう大丈夫ですからね』








真っ白くてふわふわしたような笑顔を向けられ、大きく鼻から呼吸をすれば口から思いきり息を吐き出した。








「生き、てた…」




天井に伸ばした手を静かに自分の横になっているベッドへ静かに落とした。



記憶が途切れ途切れで、なぜ自分がここに居るのかもわからない。




でも、確かに俺が最後に見たのは藤ヶ谷だ。







まさか、藤ヶ谷が…？









『回復すれば警察の方からお話聞かれると思うから、今はゆっくり休んでね』





動かない体を確認され、点滴交換し直すと看護師さんたちはニッコリ笑って部屋を出て行った。









警察…


そっか、警察が来たんだ。


でも何で…？







あの男はどうなったんだろう…






何もかも終わったんだろうか…

こんな体だけを残して…？









今更どう生きろって言うんだ…

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