幸せの途中。second

F-side ページ24

「…まさか？」


「ん、北山くんが入院している病院」









やっぱり…



あの後どの病院に北山くんが搬送されたのかは全く聞かされていなかった。




聞く権利も会いに行く権利もないと思ってもいた。







悩んで取り出した紙を封等に戻す。








「行かないの？」


「…会う権利、俺にはない」


「何言ってんの、北山くんを守ったのは太輔だろ？」





渉の言葉に首を左右に振った。






「守ってやれなかった…あんなになるまで俺は…っ」






この腕に抱きしめた北山くんの温もりを思い出す。


全身傷だらけで血まみれで…



何が守ってやった、だ…









「好きなんでしょ？」


「…え？」


「言ってたじゃん、資料室で。」





資料室…？






「"好きになった奴すら守れなくて、何が警察官だ！！"ってさ…」








…確かに言ったような気もする。






"好きになった奴"

そうか、俺…北山くんが好きなんだ。





だからあんなにも愛おしい気持ちになったり、優しい気持ちになったりしたんだ。









「はぁー。太輔本当鈍感だよね？」


「ちょ、それ警察官に言う言葉！？」


「今は違うでしょ？」


「そ、そうだけど…」


「だから行きな」


「は？？」


「今は謹慎中。太輔は今警察官じゃない。一人の男として北山くんに会ってきな」






渉は自分の持ってきたコーヒーをズズっと啜った。









「一人の男として…」


「きっと待ってるよ？北山くんも」









…そうなのかな…


本当に待っていてくれているんだろうか、こんな俺を。









「やば、仕事だ」






渉がリビングの壁にかけてある時計を見て急いで立ち上がり鞄を持って玄関へと向かったのでその後について行った。








「渉！」


「ん？」


「…ありがとね。色々…」


「ん…俺は警察官としての太輔も好きだけど、警察官らしくない太輔もいいと思う」






そう言って渉はニッコリ笑って部屋を出ていった。








「なんだそれ…褒めてんのかよ…」

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