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＿＿＿＿＿＿＿＿＿勝利。
裏方に徹していたはずの勝利が、ついに表舞台に現れた。
昨日？それなら風磨は、今日知ることになるんだろうか。
私の幼なじみともいえる人間が、ずっと私の監視役だったことを。私の親友が、この組織の 地 下 牢 に囚われていることを……。
飢 餓 状 態 ？
ろくにご飯も与えない？
何でそんな惨いことが出来るのか、理解できない。
ただただ悔しくて、涙が滲んでくる。
そして、何も出来ない無力な自分を恨めしく思う。
あ「健人」
ふと、思った。
あ「疲れたね」
ねぇ、もう限界じゃない？
あ「終わりに、出来ない、かな」
この世界の悪夢は、もう、
あ「それでも私たちは無力かな？」
終わりにしたっていいんじゃない？
私の言葉を聞いた健人は、まるでそれすら見越していたかのように、ぼんやりと宙を見つめている。
その足は次第に、灰色の世界から遠ざかっていく。
後ろを振り返って私を捕えた瞳は苦痛を浮かべていて、口元には苦笑が貼りついていた。
健「こんな女がいた」
突然、ぽつりと、昔話が始まる。
健「借金取りに追われて、名前を変えつつ 水 商 売 で生計を立てて。彼女には息子がいたけど……その息子も名前を何度も変えて、2人で逃避行を繰り返していた。夜な夜な手を握って、ずっとずっと。女は狂っていった」
「人間っていう生き物は、案外簡単に壊れるんだよな」と健人は笑う。
健「 水 商 売 ってのは、己を殺していく仕事だ。自分を殺し、相手に尽くす。 性 的 な部分をさらけ出すのは、それだけ心に深手を負う。女は息子に、かつての自分の夫の姿を見出した。 性 的 虐 待 って、こんなきっかけで始まったりするんだよな」
あ、と声が漏れた。
空いている片方の手で、自分の口を覆う。
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作者名：北斗七星 | 作成日時：2017年3月23日 15時
