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風磨side
あいにく俺は優しくない。心は真っ黒、最低最悪。卑怯な手で女を囲う。そして、そのことに罪悪感も抱かない。
………マリさんは、そんな俺を見抜いている。そして、甘い言葉を掛けてくるんだ。
『君みたいな人間は、味をしめると とことんハマると思うよ』
ふざけるな。
『残酷な人間だからこそ、君はいつか姫だけで己の欲を発散することが出来なくなる』
やめろ。
『人を 殺 し た 時の言いようのない達成感。君なら共感できるだろう。愛しているからこそ 殺 し た い んだ』
やめろ！！！！！
健「風磨？」
はっと我に返る。
俺は「何でもないよ」と言い、首を横に振った。
健人はそんな俺をずっと見つめていた。
.
その夜、健人は組織を抜けて(人1)に会いに行った。話があるらしい。
義理堅い健人が(人1)に何かをすることはないと分かっているから、俺は黙って送り出した。
「風磨………いや、志貴」
灰色の世界で浮かび上がる白。
深層部以来のマリさん。
あの日もあなたは、赤の中にいた。
俺は黙って見据えていた。
マ「ジョーカーが言っていた」
ふと、神崎さんの部屋にあった手紙を思い出す。
写真立ての裏に隠されていたアレは………。
マ「この世界が乱れてきている、と」
結局、俺は逃げられないんじゃないか。
マ「この組織の崩壊は、イコール僕の崩壊だ」
風「………そう」
マ「そもそも僕が当局の目を掻い潜って帰国したのは、この組織を立て直すため。暗部は琴葉が抑えるらしいけど。ねぇ、君も分かってるよね？琴葉の優しさ」
風「……………」
マ「あの子は完璧な ア サ シ ン にはなれないんだ。正義感が強いから 制 裁 者 には向いているのに、ほんと勿体ない。ある意味、教師は天職だったのかもなぁ」
風「それが何か？」
マ「アカリに手を掛けることは出来ないだろうね。可愛い教え子だから」
話の先が見えた。
俺は乾いた笑い声をあげる。
この人はどこまでも俺を落とす気だ。
俺が逆らえないのを分かっていて、俺をどんどん壊していく。
＊
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作者名：北斗七星 | 作成日時：2017年3月23日 15時
