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思い出した。
部署が変わることになって、新しい部署に行きたくないと訴えた時。
たまたま風磨と神崎さんが通りがかって、健人が近くにあった部屋に私を押し込んだんだ。
「あの部屋、そうだったのか」と風磨は驚いていて、それきり黙り込む。
あの時のことを思い出しているんだろう。
健「直接脱出に繋がる扉は、この迷宮のどこかに点在しているんだろう。そうではない悪戯まがいなやつは、俺らの行き交う世界にもいくつかあるんだろうな」
健人はそう言うとため息を吐く。
そして、「で、なんでお前はこの道を知ってるんだ？」と私に問いかけた。
何故だか分からないけど、私はこの道順を完璧に覚えてしまった。
もう一度あの場死へ行けと言われたら＿＿＿＿＿行きたくないし、この先行くこともないだろうと思うけど＿＿＿＿＿辿り着ける。
そんな、揺るぎない自信があるの。
あ「人に、教えてもらった」
健「誰に？」
あ「分からない」
健「は？」
あ「突然電話がかかってきて、道案内してもらった。志……風磨が大切なら今すぐ組織に行けって言われて」
健「……………」
あ「帰れるように印を付けながら行った。でも、道を覚えてしまったから、印は意味がなかったんだけど」
風磨と健人が顔を見合わせた。
2人の顔がどんどん険しくなっていく。
健人が「まさか、な」と呟いて、風磨が天を仰いで舌打ちをする。
健「とにかく、(人1)は二度と見知らぬ人間の声に従わないように、風磨にしっかり躾けてもらわないとなぁ」
あ「え、」
風「任せて。今晩はお仕置き決定」
あ「ん？えぇ？」
健「(人1)」
健人が、真剣な面持ちで私を見据えた。
健「それはきっとジョーカーだ」
言葉を失った。
健「こんなことが出来るのは、マリさんを差し置いてジョーカーしかいない」
私はiPhoneを握りしめた。
健「今回は助かったけど。二度とこんな真似はしないと誓ってほしい」
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作者名：北斗七星 | 作成日時：2017年3月23日 15時
