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風磨side
(人1)の夢を見た。
志貴、と俺の名前を呼ぶ。
優しい声が。
.
大晦日はお互い昼間に仕事があったから、夜に合流して一緒に年を越した。
(人1)が買っていたらしい蕎麦を食べながら。
新しい年を迎える。
初詣に行ったり、初日の出を拝むことはしない。
いつものように抱き合って寝て、いつものように朝を迎えた。
新年は仕事が休みだから、昼頃に目が覚めた。寝ぼけ眼のまま、2人揃ってリビングに向かう。
風「(人1)、今日の予定は？」
あ「んー、掃除しよっかな。どう思う？」
風「新年掃除か、いいね」
あ「やりますか」
そんなわけで簡単にお昼を済ませて、2人で大掃除を始めた。
神崎さんがピカピカにしていたこの家は、神崎さんがいなくなった途端に荒れ始めていたから。
だから、なかなかに時間がかかる。
残るは神崎さんの部屋、となった頃には、もう日が暮れかけていた。
あ「ふーくん、神崎さんの部屋に入ったことある？」
ふーくん、の呼び名には突っ込まずに。
風「いや、全然」
あ「私もなんだよね」
風「掃除すべきか否か」
あ「確認だけしておく？」
廊下の一番奥。
神崎さんの部屋の前に立った。
何故か、緊張する。
(人1)も緊張しているのか、一向にドアを開けようとしないから、俺がドアノブに手を掛けた。
ふわっと懐かしい香りが漂う。母の匂いなんてものが存在するのなら、多分これがそう。
俺はしばらく、入り口で立ち竦んでいた。
そんな俺の手を、(人1)がそっと取った。
どこか不安げな瞳で見つめながら。
………そんな顔するなよ。
＊
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作者名：北斗七星 | 作成日時：2017年3月23日 15時
