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マ「君は僕が憎い?」
わざと、神経を逆撫でする声。
巧みに人を誘導する声。
騙されてはいけない。
私は黙って首を横に振った。
マ「どうして?姫の両親を 殺 し 、姫を不幸な家庭に預けて、琴葉と風磨を組織に縛り付けている。琴葉が邪魔になったから、ジョーカーに無理を言って異端尋問に追いやったのはこの僕だ」
恐怖と怒りで今にも怒鳴りつけてしまいそうなところを、ギリギリ押え込む。
マ「僕は姫を………」
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「で?あんたは本気で俺に 殺 さ れ たい?マリさん」
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聞き慣れた声が届いた。
後ろから私を包み込む男に、視界がゆらゆらと揺れた。
緊張の糸が解けた途端、泣き出しそうになる。
………助かった。
マ「1人で見張りを全員再起不能にしたのか。さすが風磨だね」
風「俺に変な仕事を押し付けたりする分には構わないけど、(人1)には手を出すなって言ったよな?」
実の親と対峙しているとは思えない口ぶり。
その言葉の端々からは、怒気が滲み出ている。
確かに……風磨は私のことになると、人が変わる。
極度の執着心を見せる。
これほど私に囚われるのは、何故だろう?
マ「姫に興味があったんだ。君が 貞 操 を 奪 っ て まで欲しがったオンナノコだからね。どんな子か知りたかった」
風「じゃあこれで分かったよな?(人1)は返してもらうよ」
私の腕を掴んで強引に立たせる。ふらりと揺れた身体を、風磨が抱きとめてくれた。
マ「君も僕と同じだなぁ、風磨」
嬉しそうな声が聞こえた。
風磨は無視を決め込んで、私を引きずるようにして部屋を颯爽と横切る。
出口付近で転がっていた見張りに、再度蹴りを入れた。
マ「欲しいものを前にすると、貪欲なまでに狂う。僕とそっくりだ。だからこそ僕は、君の一番の理解者だし、その逆も然り」
風磨の手は、震えていた。
マ「その子は何をやっても『綺麗』だ。かつての美咲のようにね……。僕らの世界には決して溶け込めない。君とは違うよ、志貴」
その名前は彼を縛って、雁字搦めにしてしまうものなのだと気付いた。
だから彼は「風磨」と名乗るのだ、と。
マ「だから、手放してあげないと死んじゃうかもよ?(人1)ちゃんが、ね」
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作者名:北斗七星 | 作成日時:2017年3月23日 15時