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*104* ページ14







マ「君は僕が憎い?」






わざと、神経を逆撫でする声。


巧みに人を誘導する声。




騙されてはいけない。



私は黙って首を横に振った。






マ「どうして?姫の両親を 殺 し 、姫を不幸な家庭に預けて、琴葉と風磨を組織に縛り付けている。琴葉が邪魔になったから、ジョーカーに無理を言って異端尋問に追いやったのはこの僕だ」






恐怖と怒りで今にも怒鳴りつけてしまいそうなところを、ギリギリ押え込む。






マ「僕は姫を………」





.





「で?あんたは本気で俺に 殺 さ れ たい?マリさん」





.





聞き慣れた声が届いた。






後ろから私を包み込む男に、視界がゆらゆらと揺れた。


緊張の糸が解けた途端、泣き出しそうになる。




………助かった。






マ「1人で見張りを全員再起不能にしたのか。さすが風磨だね」


風「俺に変な仕事を押し付けたりする分には構わないけど、(人1)には手を出すなって言ったよな?」






実の親と対峙しているとは思えない口ぶり。


その言葉の端々からは、怒気が滲み出ている。




確かに……風磨は私のことになると、人が変わる。


極度の執着心を見せる。



これほど私に囚われるのは、何故だろう?






マ「姫に興味があったんだ。君が 貞 操 を 奪 っ て まで欲しがったオンナノコだからね。どんな子か知りたかった」


風「じゃあこれで分かったよな?(人1)は返してもらうよ」






私の腕を掴んで強引に立たせる。ふらりと揺れた身体を、風磨が抱きとめてくれた。






マ「君も僕と同じだなぁ、風磨」






嬉しそうな声が聞こえた。



風磨は無視を決め込んで、私を引きずるようにして部屋を颯爽と横切る。


出口付近で転がっていた見張りに、再度蹴りを入れた。






マ「欲しいものを前にすると、貪欲なまでに狂う。僕とそっくりだ。だからこそ僕は、君の一番の理解者だし、その逆も然り」






風磨の手は、震えていた。






マ「その子は何をやっても『綺麗』だ。かつての美咲のようにね……。僕らの世界には決して溶け込めない。君とは違うよ、志貴」






その名前は彼を縛って、雁字搦めにしてしまうものなのだと気付いた。



だから彼は「風磨」と名乗るのだ、と。






マ「だから、手放してあげないと死んじゃうかもよ?(人1)ちゃんが、ね」





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作者名:北斗七星 | 作成日時:2017年3月23日 15時

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