相澤先生の寝袋 [ヒロアカ] (ページ33)

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相澤先生の寝袋体育祭ページ33

Aの攻撃によって怪我した多数の生徒たちを横目に、運良く怪我に至らなかった他の騎馬たちはかなり怯んでいた。

心「…さすがにこうなるよな」

ほとんどの騎馬がAと心操の2人だけの騎馬を前にして後ろに下がる中、爆豪と緑谷、轟はまっすぐに向ってきていた。

緑「A先生！攻撃される前にハチマキいただきます！
麗日さん、浮かせて！発目さん、加速して！」

轟「いや、悪いが俺がもらう
八百万、拘束具を出してくれ」

爆「それよこせ！副担！！」

ﾏｲｸ「さっきの怪我人を見てもまだ挑むかーっ！？！？
その勇士、まさにヒーロー！！！」

3組の騎馬がそれぞれの作戦で1位の騎馬に挑む。

意識がぼんやりする中で、Aはやっぱりこの3人が来たかと少し嬉しくなっていた。

心「ﾁｯ…A、[ハチマキを守りながら騎馬を崩せ]」

Aは迫り来る3組の騎馬から繰り出される攻撃を受け止め、その力を反動に騎馬を崩した。

緑「っ…」

爆「やっぱクソ強ぇ」

轟「…隙が無ぇ」

緑谷は分析が得意で策士家だが、視野が狭く周囲の状況に見落としがある。

爆豪は自分の個性の扱いに長けたテクニックだが、感情に流されやすい。

轟は冷静で状況判断に長けているが、個性を使う上で必要のない感情をのさばらせている。

しかし3人ともヒーローの素質は充分にある。

ただ、誰かを守るヒーローを目指すか、敵を倒すヒーローを目指すかで戦い方や癖、その人なりのあじが攻撃には滲み出る。

Aは洗脳状態と正気を繰り返しながら、この3人を特に面白い生徒だと思っていた。

『＿＿"3人とも、怪我はない？"』

Aもここまで遊び甲斐があると、意地の悪いことをしてしまう。

緑「へ＿＿？」

緑谷はただ一人気付いていた。

Aがわざと心配の言葉を投げかけたのは、つまり自分たちがAにとっては守るべき対象であるということを分からせるためだということに。

それはすなわち、このフィールド内のこの騎馬戦という競技において敵同士であるにも関わらず"敵である"と見なされていないということだ。

『心操、一端下ろしてくれる？』

心「…わかった」

Aは心操の肩車から降りて、ゆっくりと警戒態勢に入っている3人の元に歩いた。

轟「っ、なにを」

『なにを？…決まっている
君たちのポイントを奪うんだよ』

Aは考えていた。

どうやって、思い上がった鼻っ柱を折ってやるべきか。

Aの手には既に3枚のハチマキがあった。