相澤先生の寝袋 [ヒロアカ] (ページ21)

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相澤先生の寝袋 USJ事件後ページ21

放課後、もう学校に残っている生徒がいない時間、夕飯時

付喪(つくも)Aは、マンションの玄関で大きな袋を2つ持ったまま行き倒れていた。

相「・・・おかえり」

『・・・ただいまっス』

めずらしく、包帯だらけの身体ではあるが相澤はエプロンを着て蓋付の大皿を片手に持っていた。

『せんぱい…夕飯作っておいてくれたんスね！』

Aは相澤の主夫さながらのエプロンの着こなしに感動した。

加えて、怪我をしているのにも関わらず自分のためを思って料理を作ってくれたのだとAは幸せな想像をしていた。

相「あぁ、あいつらにつきあってAも疲れて帰ってくるだろうと思ってな」

相澤は倒れているAの目の前に大皿を持っていき、ゆっくりと開けた。

『せんぱい～！』

Aは幸せすぎて嬉し泣きしそうになりながらも、どんな料理を作ってくれたのか楽しみにしていた。

なにせ、いつもはAが家事をやらされており、相澤がキッチンに立つ姿を見たことがなかった。

相澤の手料理、これが精神的に満身創痍になっているAを励ますのには最適であった。

相「これ飲んで、元気出せ」

皿に乗っていたのは愛情満タンな手料理なんかではなく、相澤が時短且つ合理的という理由で常日頃飲んでいるウィダインゼリーだった。

『』

相「遠慮なんかするな」

『いや遠慮とかじゃないっスけど！？
ウィダインゼリーって……俺の期待と幸せだった数分を返してください(怒))』

相「俺だってがんばった」

『ウィダインゼリーのどこに頑張りが！？』

相「エプロンを着るのに手間取ったんだぞ」

『そこ！？…はぁ、もういいっス
俺が作るんで、座っててください』

相「A」

『なんスか！』

相澤は包帯で太くなっている右手をゆっくり動かし、男の時よりも長く艶やかになったAの髪を撫でた。

相「おつかれ」

『…、…先輩こそ、おつかれっス』

Aは、動きづらいはずの包帯だらけの手を無理矢理動かしている相澤になんだか怒る気力さえ失せてしまった。

相「昨日は朝仕事に行ったきり帰ってこないし、今朝早く帰ってきて事情を聞いた時は肝が冷えた
面倒な個性保持者集団によるリンチ
そんなの聞かされて、今日だって本当は買い物になんか行かせたくなかったんだぞ
なぁ、A
なんでリンチなんて目にあってんのか、そろそろ言ったらどうだ」

相澤は泣きそうな顔をしながら、華奢になったAの肩に触れた。