相澤先生の寝袋 [ヒロアカ] (ページ1)

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相澤先生の寝袋　オリジンページ1

ある休日、その日は教師としてもヒーローとしても多忙極まりない日々を送る相澤消太の何ヶ月ぶりかの休日だった。

何の予定もない日であり、何の事件もない日であり、何の仕事もない日であった。

昼過ぎに起きた相澤は、自分の愛用中のボロボロになった寝袋を見て、そろそろ替え時かと思い立つ。

ラフな私服に着替え、5千円札をポケットに突っ込んでマンションを出た。

向った先は、年末の大セールを開催しているホー○センター

キャンプ用品の大セール棚に、使っていた寝袋と同じ黄色い寝袋が売られていた。

4000円＋税で。

相「…安いな」

寝袋『そうなんスよ～酷いと思いません？』

格安価格の黄色い寝袋が声を上げた。

相「！？…おい、ここで個性消されたくなかったら姿を現せ」

寝袋『ちょ、待ってくださいよっ先輩(焦))！
俺ですよ、付喪(つくも)Aです』

相「なんでこんなとこで売られてるんだ」

寝袋『忘年会で泥酔して気付いたら売られてました』

相「はぁ～(呆))…」

端から見たら、寝袋に向って話し掛ける妖しい男にしか見えないが、

実は、先輩後輩同士のおよそ12年ぶりの感動の再会の場面である。

相「…他の寝袋はないのか」

寝袋『えっまさか、俺を買わないつもりですか！？』

相「逆になんで買う前提なんだよ」

寝袋『酷いっス…後輩が困ってるんですよ！助けるのが先輩でしょ！』

相「うわ厚かまし」

寝袋『この寝袋はどんなに使い続けても常に新品なんスよ！
いいんスか？
他の寝袋買うと、またすぐボロボロになって新しいの買うはめになりますよ！』

相「……どんな使い方をしても新品…？」

『“どんなに”使い続けても！
ていうか、どんな使い方するつもりっスか！？』

相「」ﾆﾀｧ

『こわっ』ｿﾞｯ

相「…よし、買ってやる
ただし、俺の寝袋と家事担当な。あと、来年度の俺のクラスの副担任やれ」

『なんでっスか！？
俺、先輩の寝袋やらされる上に家事と教職もやるんですか！？』

相「俺に、買って欲しいんだろ？」ﾆﾀｧ

『……やっぱ置いてってください』

相「やだね」

『30路に入ったオッサンが“やだね”とか言わないでくださいよ
許されるのはJKまでっス』

相「“ご主人サマ”にそんな口の利き方したらだめだろｗ」

『うわ、ぜったい言うと思いましたよ！
こんないたいけな後輩苛めて何が楽しいっていうんですか！』

相「自分でいたいけとか言うな寝袋」

『付喪です！』

ピｯ

ﾚｼﾞ「4,320円です」