相澤先生の寝袋 [ヒロアカ] (ページ27)

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相澤先生の寝袋体育祭ページ27

ﾏｲｸ「雄英体育祭1年ステージ予選！
第1種目は障害物競走ーーっ！！」

体育祭当日、競技場で団体をつくっている普通科のクラスに付喪Aはさり気なく混ざっていた。

体操服を着た見知らぬ顔の女生徒として、騒ぐでもなく友達と駄弁るでもなく、ただただ優勝に闘志を燃やしていた。

相澤を自分の思い通りにできるチャンス、これがAにとってどれほど魅力的な優勝景品か

今のAは大したことない潜入任務などよりも、数十倍やる気を出している。

仮にもプロヒーローとしてこのような相澤に対する下心はどうかと思われるが、Aは性格的にあまり真面目な方ではないので気にしてはいなかった。

『ふふふっ…』ﾆﾀﾘ

プレゼントマイクの競技説明など聞こえていない。

Aの頭の中には優勝したら相澤に何をさせようか、そのことばかりであった。

心「うわ、…(引))」

たまたま近くにいた心操人使に不審な笑みを浮かべる様子を見られていた。

『おっと、ごめんｗなんでもないよ
ただちょっと、優勝が楽しみで』

心「優勝…」

『普通科がヒーロー科に勝てるわけないって顔に書いてあるよ
…ねぇ、それ本気で思ってる？』

心「・・・」

『まぁいいや、聞かなかったことにしておいて
それより君、なんか雰囲気が先輩に似てるね
名前なんていうの？』

心「は？」

『俺、付喪A』

心「………心操」

『よろしく～心操！』

スタートの合図が鳴る少し前に、Aは普通科で緊張感のないやりとりを楽しんでいた。

猫背で濃い隈がある少年と高校時代の相澤がどこか似ていて、Aは懐かしさのあまり名前まで聞いてしまった。

Aも実は今日で女子高生の姿の期限がきれるから、あまり1-A以外の生徒とは関わりを持たないつもりで体育祭に参加していた。

本来いないはずの普通科の女子生徒なのだから。

心「なぁ、さっき言ってた"先輩"って誰だ？」

心操はもうすぐ予選が始めるというのに初対面で妙に馴れ馴れしいAに興味を持ったのか、洗脳まではするつもりはないが探ってみたくなった。

『俺がなによりも大切にしたい人だよ』

Aは幸せそうに微笑んで、今朝の朝食の焼き鮭を頬張る相澤を思い浮かべながら答えた。

その顔の締まりのなさといったら、笑えてしまうくらいだった。

心「…名前を教えろ」

『えー秘密ｗ』

心「！？なんで効かない！？」

『君が優勝したら教えてやる』

ロボットの大群が1歩前進した瞬間、Aの姿は消えていた。