相澤先生の寝袋 [ヒロアカ] (ページ25)

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相澤先生の寝袋ヒーロー情報学ページ25

最近では、それぞれが体育祭に向けて放課後にトレーニングを重ねている生徒達の後ろ姿にも見慣れてきていた。

そんな日の最後の授業に、めずらしく実技ではなく座学があった。

ヒーロー情報学

これはAが唯一受け持っている授業である。

よって、いつまでも寝袋のままでいるわけにもいかず、女の子の下着が云々と言っている場合ではないのであった。

『今日は午後が実技じゃなくて、皆ちょっとやる気が失せてるかな～(汗))』

教壇に立って生徒達を見渡すと、数名は起きているもののほとんどが机に突っ伏して寝ている。

毎日の放課後のトレーニングで疲れているのだから、お昼ご飯を食べて窓際の暖かい日差しを浴びれば眠ってしまうのも無理はない。

Aは塾講師であった時からそうだが、自分の授業で生徒が寝ていても起きていても然程気にしないタイプなのであった。

『今日は、体育祭に向けてちょっとしたヒントをあげようと思ったんだけど』

Aがそう言った途端に、寝ている生徒がビシッと顔を上げて目を血走らせた。

『眠そーｗ』

飯「A先生！勝つためのヒントはいりません！
自分たちで探すために日々の訓練をしていますので！」

飯田は勢いよく手を上げて、高らかに申し立てた。

『うーん、残念ながら勝つためのヒントはないよ
ただ、今回は君たちの活躍がテレビ中継されて全国に流されるわけだ
それは一見すると、自分たちにとってはプロに見込まれるかもしれない良いチャンスだと思えるかもしれない』

爆「…個性がバレて危険だとでも言いてぇんか
なめんなよ、そんなんいずれバレんだろ」

『いいや、個性がバレたところで大した問題にはならない
ただもし、テレビを通して視聴者に伝わったのが君たちの個性以外の弱点だったらどうだろう
その弱点とは、ヴィランにつけ込まれやすい性格の一端であったり、心の内に隠してある触れられたくない何かであったりする
情報とはすなわち、事実の仮の姿でしかない
常に誤解を孕み、常に良くも悪くも解釈できる』

Aは今の姿こそ女子高生であり雄英の女子制服を着ているが、その言いようはやはり現場を知るプロヒーローであった。

教室が鎮まり返り、眠気が一気に醒めたようだった。

『だから、この先できればずっと覚えておいてほしい
ヴィランと見なされるかヒーローと見なされるか、その境目は本当に紙一重であることを
今の君たちはヒーローの卵であると同時に、ヴィランの卵でもあるということを』