相澤先生の寝袋 [ヒロアカ] (ページ14)

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相澤先生の寝袋任務ページ14

Aはベッドの側の丸椅子に力なく座ると、病室の消灯台の空きスペースに包が置いてあるのに気付いた。

その包は、いつも相澤が使っている弁当の包だった。

もちろん、中には弁当が包まれている。今朝、Aが作った弁当が。

Aはフラフラと立ち上がり、消灯台まで行くと包を開けた。

アルミの弁当箱を開けると、空になっていた。

『ｯ…』

昼、ヴィランの襲撃がある前に食べたのだろうか。

もちろんその通りであろうが、Aは相澤が自分の作った弁当を頬張る姿を想像した。

相澤は好きなものは最後に取っておくタイプなので、唐揚げはやっぱり最後に食べたのだろう。

口いっぱいに頬張る食べる相澤の姿が頭に浮かぶ。

じゃあ、今も目を覚まさない重傷の相澤の腹の中には、まだ自分が作った唐揚げが残ってるだろうか

そんなことを思いながら、Aは声を上げずに泣いた。

『…せんぱい、…いつもベッドなんかで寝ないじゃないスか……
…いつまでもそんなベッドで寝てると、…先輩の寝袋は嫉妬しちゃいますよっ…』

『…いつもみたいに…おやすみって言って……明日の朝ご飯のリクエストをして…図々しく明日の起床時間まで命令すればいいじゃないスか…！』

『…いいんですかっ？
…いつまでも寝てると…明日起こしてあげないし、明日の朝ご飯も先輩の嫌いなものにしますからっ！…』

Aの顔は涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃになっている。

Aは、何の返答もない相澤の足に手を伸ばした。

手を伸ばして、足の甲にある足背動脈に触れた。

とくんっとくんっとくんっ

自分の手で確認することができた相澤の生命の証拠に、涙腺が壊れてさらに涙が涙袋から溢れた。

Aは丸椅子をベッドの下方に移動させ、朝が来るまでずっと相澤の足背動脈に触れ続けていた。

相「…ん、……」

朝日が昇ったばかりの時間、相澤は目を覚ました。

自分の足をガッシリと掴んだまま寝ているAを片目で視認し、どういう状況か分かりかねていた。

相「……A、…」

『ぅん…？…ぁ、…せ、…せん…ぱい…っ！！』

Aはガバッと起き上がると、すぐにベッサイドにあるナースコールを連打した。

相「おい、そんなに押すな…緊急だと勘違いされるだろ」

相澤は包帯でグルグル巻きになった手で、Aのナースコールを掴む手に触れた。

『緊急じゃないっスか！こんな…こんなにっ…ボロボロでっ！！！』

看護師が慌てて来るまであと2秒。