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思わずクスクスと笑うと清原くんはうるせえよと私を優しく小突いて笑い声をあげた。
それと同時に担任の先生が入ってきてHRがはじまった。
ぼんやりと黒板を眺めていると隣から肩を叩かれ､フジくんと目が合ったと思うと、コンコンと机を叩かれて下を見るとルーズリーフに何やら文字が書かれている｡
“Aちゃん､今日学校おわったあと時間ある？”
その言葉に嬉しくなりながら､こくんと頷いてみせるとフジくんは満足げに笑みを浮かばせてシャーペンを走らせた｡
“ご飯食べ行こう｡”
私は､シャーペンを取り出してその下に返答を書いていく。横目でちらり、とフジくんを見るとペンを回しているのが見える｡角張った男の子らしい手を握る妄想を1人でしては顔があつくなっていく。
…… 何を考えているんだ､私は。
でも｡2人で食べに行くのかな｡
もしも2人だとしたら周りからはカップルみたいに見えるんじゃないかな｡そしたら手とか繋いだり出来るのかもしれない。
あ、やばい、にやけてしまうわ。
でもフジくんと手とか繋いでしまったら､絶対に死んでしまうと思う｡色々な意味で｡
「はい皆注目！」
手の叩く音で我にかえる。
いいよ、という言葉をフジくんに見せてから学級委員の華原さんをみつめた。
一体､何が始まるのかと思いながらフジくんと顔をふたりで見合わせる。
「10月の第一土曜日と日曜日に文化祭があるので、明日出し物を決めたいと思います。各々何をしたいか考えてきてください。」
文化祭｡
もうそんな季節が来たのか､なんてぼんやりとした頭で考えるけれど、あまり良い思い出がない。良かったのはベースを弾くフジくんが見れたことくらいだったけれど、私は半ば強引に押し付けられた受付でずっと携帯を見ていた記憶がある。
去年はお化け屋敷で､その前はもう覚えてない｡
今年は何をするんだろうな、なんてぼんやり考えているとガヤガヤと騒がしい教室で清原くんが席を立って私に話しかけて来た。
「帰ろうぜ､フジ｡ヒラとこーすけとかも誘って飯でも食いいこうよ」
「いいね｡Aちゃんも行く？」
「……うん、いく！」
本当に、嬉しかったし､夢みたいだ。
フジくんの近くに居られなくても遠目で見てるだけでも良い､なんて今まで思ってた｡
けれど､今こうして隣を歩くことが出来て物凄く幸せだな､なんて｡
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作者名：ふじもり | 作成日時：2018年10月18日 11時
