私の魔導書は4.5つ葉 1

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『あ、そーいえば。おーゔぇん…だっけ？その人のとこに居候するみたいな話ってどうなったの？』

すっかりと脱線していた話を元に戻す。

「オーヴェンね、彼のことだから許可はくれると思うしAがよかったらそこに決めちゃおうと思うけどいいかい？」

『私は別に…、どうせ居候の身になるだろうし兄さんとたまに会えるならいいです』

「決まりだね。あ、あとAには魔法教えるって言ったし明日オーヴェンのところに行くついでに色々と教えるね。ヤミも来る？」

「あ〜、じゃあ俺も行きます。コイツまだ氣の感知完全じゃ無さそうだし、刀使うんだったらついでに刀の使い方も教えたいし」

そういえばユリウスは魔法を教えてくれると言っていた気がする。それにしても魔法帝というのは忙しい役職ではなかっただろうか？確か、この国の治安を守る魔法騎士団をまとめているとかなんとか言っていたはずだ。
そんなすごい人物がたった1人の少女に魔法を教えるためだけに時間を割いてもいいのだろうか。そもそも自分は異邦人なわけで身分制度が根強いこの国の王城にいるだけでも貴族・王族たちはいい思いはしないだろう。
別に歪んだ教育の上で育ってきた彼らが自分に対してどうこう言おうとうるさいバカの一言で一蹴するつもりだが、ユリウスに非難が行くのであればそれはいただけない。数回ではあるがユリウスには守ってもらっているし、数年前から面倒を見てもらっている。
日ノ国の侍は恩義を決して忘れない。そして、その恩義は忠誠へと変わる。

自分自身が侍や武士というわけではないし忠誠なんてガラじゃないが、うろ覚えの祖国の文化を大切にしたかったし、なによりもこの国に来た後にずっと優しく接し続けてきてくれたユリウスにだったらこの命をかけてもいいと思えた。


『じゃあ…、ダンナと兄さん。これからよろしくお願いします』

「…おう」

「うん、よろしくね。A。
…………………ところで、もう体調も大丈夫そうだしちょっと聞いていいかい？」

『？いいですけど…』

改めて挨拶をしてから質問をしてきたユリウスを見つめると何やらソワソワしているようで落ち着かない様子だ。何かと思っているとAとユリウスに挟まれるようにして立っていたヤミが、一歩下がりオレンジ色に染まった光がさす窓辺の方へと移動し、ヤミの方に目を向けると何故か同情のような呆れたような目をしていてますます意味がわからなくなってしまった。

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